「あなたの思考は中学生のレベル」

●球田コンサルタント:「聞き方を変えましょう。SFAを導入しようと思い立ったきっかけは何ですか。思い出してください」

○牛尾システム部長:「きっかけ?」

●球田コンサルタント:「そこが重要です」

○牛尾システム部長:「……SFAベンダーの営業が私のところに来て、他の広告代理店が続々と導入していると説明した」

●球田コンサルタント:「他社の導入事例を聞かされた、うちも導入しないといけない。そう考えたわけですか」

○牛尾システム部長:「納得できる事例だったから社長に勧めた。悪いですか」

●球田コンサルタント:「悪いです。論理的ではない」

○牛尾システム部長:「何ですって」

●球田コンサルタント:「中学生が『みんなが持っているから俺もスマホがほしい』と言っているレベルです」

○牛尾システム部長:「ぐ」

●球田コンサルタント:「システム部長なのに論理思考ができないとは興味深い。これまで検収してきた情報システムのロジックは大丈夫ですか。あなたがいう『システム屋の癖』とは論理を無視することですか」

○牛尾システム部長:「いいかげんにしてください! 失礼だ」

●球田コンサルタント:「よそがやっているからうちも、といった程度の話では論拠とは言えない。社長を説得できないし、仮に導入できたとしても論拠がそれではSFAを正しく定着させ、結果を出すことは難しい。それより予材管理の定着が先です」

○牛尾システム部長:「営業目標の2倍の材料を予め仕込んで管理する、あのやり方ですか」

●球田コンサルタント:「社長が持ち込んだ予材管理はシンプルですが筋が通っている。SFAはあるにこしたことはないが、たとえ無くても予材管理を定着できれば営業部を見える化できる」

○牛尾システム部長:「予材管理には今一つピンときていない。予材管理を導入して成功した企業の事例があればもう少しわかるのですが」

●球田コンサルタント:「また導入事例ですか。導入事例が多ければその手法やシステムが妥当だと考える人はバイアスがかかっている。ロジカルでないから、やたらと導入事例を知りたがる」

安心欲求を満たしているだけ

 何かの手法や方法あるいは情報システムの効用を測るのに、やたらと導入事例を知りたがる人がいます。こういう人は「社会証明の原理」という心理バイアスにかかっています。

 多くの人が支持しているものなら安心だ。有名な会社も採用している取り組みならリスクは低い。こう受け止める。意思決定をしているつもりでも、実際には「安心・安全の欲求」を満たしているわけです。

 バイアスがかかったままでは正しい判断ができません。しかもバイアスがかかった意思決定を繰り返していると論理思考の力が減退していきます。

 意思決定権を持っている人は特に、正しい論拠を見つけ、正しく意思決定する癖を付けましょう。