●獅子山課長:「はあ……。正直言いますと、大企業への営業に限界を感じていたところなんです」
○鷲沢社長:「なぜ?」
●獅子山課長:「商談のリードタイムが長すぎます。いいところまで行ったと思っていたら、組織変更で担当者が異動になって」
○鷲沢社長:「よくある話だ」
●獅子山課長:「担当者が異動にならなくても、その上司が変わって話が振り出しに戻ることも日常茶飯事です」
○鷲沢社長:「大企業は横着なことを結構言ってくるだろう」
●獅子山課長:「よくご存じで。サンプルを作るから費用負担をお願いしても、まず出さないですね。中小企業のほうがきちんと払ってくれます」
○鷲沢社長:「そういうお客さんをどれだけつかめるかだ。経営としては確実に3割打つ選手を揃え、しっかり勝ち星を増やしたい。といっても予材が小さすぎると、1人ではさばききれなくなる。大きな仕事をとることに憧れるのはいいが、『打率1割のホームランバッター』は要らん。経営も営業もバランスだ。小さい仕事、中ぐらいの仕事、時には大きい仕事をしっかりとって、達成率100%を下回らないようにしてもらいたい」
●獅子山課長:「私は『打率1割のホームランバッター』だったのですね。当たれば大きいんですが……」
○鷲沢社長:「君みたいなやり方は派手で目立つから若手が憧れてしまう。気をつけてくれ」
毎日コツコツやる大切さを忘れずに
ぎりぎりになって大きな案件を受注する「一発逆転」を一度でも体験してしまうと、それが忘れられず、大逆転を狙うようになりがちです。そうなると大きい予材があると安心してしまったりします。「あのドラマをもう一度」という気持ちになり、毎日コツコツやる大切さを忘れてしまうのです。
大企業を相手にして大型の案件を狙うこと自体はいいのですが、十分気を付ける必要があります。予材管理は「リスク分散」の手法です。適正な規模の予材を着実に仕込むことが大事です。
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