「日本企業には部長よりも番長が必要です」

○鷲沢社長:「ストレートな言い方は控えろ、ということだ」

●球田コンサルタント:「カーブを投げろ、ということですか。カーブを投げてもストライクをとりにいきますよ、私は」

○鷲沢社長:「もういい! それより営業部長をどうしたい」

●球田コンサルタント:「日本企業には部長よりも番長が必要だと私は考えています。営業部長より、営業番長ですね」

○鷲沢社長:「ば、ばんちょう?」

●球田コンサルタント:「そうです」

○鷲沢社長:「番長って死語だろう。もう誰も使わないぞ、そんな言葉」

●球田コンサルタント:「アメリカで日本のアニメを観る機会がありました。番長が出てきましたよ」

○鷲沢社長:「アニメや漫画の世界だからだ。ビジネスに番長だなんて……。何を言いたい」

●球田コンサルタント:「営業部なんて不良グループみたいなものです。腕っぷしはあるかもしれないが、ルールは守らないし、暴れん坊。上司にだって刃向かう」

○鷲沢社長:「だから番長の出番ということか。確かに営業は自由度が高いが、いくらなんでも不良グループとは言い過ぎだ。うちの連中はもっとちゃんとしている」

●球田コンサルタント:「ちゃんとしていても目標を達成できない。敵に殴り込むガッツがない」

○鷲沢社長:「君が言う敵とはお客様のことだったな。君の言葉づかいに慣れてきているようでどうもいかん。目標を達成できるなら不良のほうがましだ、というつもりか」

●球田コンサルタント:「当然でしょう。戦争をするのですから勝たないと」

○鷲沢社長:「……確かに今の営業部長はお飾りとまでは言わないが、おっとりしている。敵だとか戦争とか君が言ったら卒倒しかねん」

「“裏番”を育成しましょう」

●球田コンサルタント:「営業部長を交代できないなら、営業番長を別途決めてはどうでしょう」

○鷲沢社長:「なんだか乗せられているようだな。営業番長ってどういう奴だ」

●球田コンサルタント:「腕っぷしが強くて、人情味があり、子分の面倒をよくみる」

○鷲沢社長:「アニメのままじゃないか」

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