営業の「総合的な準備・計画・運用の方策」を

○竹虎常務:「うちは中小の広告代理店だ。気合いだけでは勝てない。大手に勝てる戦略があるのか」

●球田コンサルタント:「戦争の総合的な準備・計画・運用の方策を問うておられるなら、こう答えましょう。ライバルが行きそうな企業を徹底的に分析し、そこで予材を見つけていく」

○竹虎常務:「また戦争か。私はビジネスにおける戦略の話をしている」

●球田コンサルタント:「ビジネスも野球も戦争と同じようなもの。戦争から多くのノウハウや考え方を学べる」

○竹虎常務:「なんて物騒な人だ」

●球田コンサルタント:「戦略について質問されたのでは」

○竹虎常務:「ライバルで予材を見つけると言ったな。営業目標の2倍にあたる材料を予め仕込んで未達成リスクを回避するやり方が予材管理。どうしてライバルの顧客から予材をつくるのかね」

●球田コンサルタント:「そこに予材があるから。ライバル会社の営業を追えば、こちらにとっても予材が増える。戦いやすい」

○竹虎常務:「ライバルといったら大手2社に限られる。真正面から競って勝てるはずがない」

●球田コンサルタント:「なぜ」

○竹虎常務:「わからんのか。うちのような中小には中小の戦い方がある」

●球田コンサルタント:「それは戦略ではない」

○竹虎常務:「戦うことを略す、それが戦略だ。戦わずして勝つやり方を考えるのがコンサルタントであるあなたの役割だ」

●球田コンサルタント:「戦うことを略す。誰の言葉か」

○竹虎常務:「え」

●球田コンサルタント:「常務はそう言った。常務の定義か」

○竹虎常務:「戦略とは戦うことを略すこと。誰が言ったのかはともかく、そんなことは常識だ」

●球田コンサルタント:「初めて聞いた。辞書に載っている定義なのか。私が引いた辞書には、戦争の総合的な準備・計画・運用の方策、と出ていた」

○竹虎常務:「辞書に載っていないからどうしたというのだ。人をバカにしているのか」

●球田コンサルタント:「確かにバカバカしい。言葉遊びに付き合う暇はない」

○竹虎常務:「なんだと!」

●球田コンサルタント:「戦いを略す。それが日本のビジネスパーソンの常識なのか。まともな戦い方を知らない、それでは駄目だ」

○竹虎常務:「勝手に決め付けるな」

●球田コンサルタント:「戦争でも野球でも営業でも戦いを略して勝つことなどありえない。そういう考え方や発想では闘争心が出てこない」

○竹虎常務:「……どうすればいい」

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