「うまくいかないことはムダだと吠えていると空しい人生を送るぞ」

○鷲沢社長:「物事を『うまくいく/うまくいかない』のどちらかに決め付け、うまくいかない物事はムダだと吼えていると、空しい人生を送ることになるぞ」

●子犬課長:「……『うまくいく/うまくいかない』の他に何があるのですか」

○鷲沢社長:「色々あるさ。例を挙げよう。当社の営業部は四つの営業課に分かれている。昨年度、部の目標は達成できたが、全ての課が目標を達成したわけではない」

●子犬課長: 「それはそれは申し訳ありません。私どもの課が足を引っ張りました」

○鷲沢社長:「君の課はうまくいかなった。ムダがあったのかな。目標を達成した他の課はうまくいった。毎日毎日、全員がまったくムダのない、すべて意味のある行動をとってきたと思うか」

●子犬課長:「いや、そうは思いません。しかしですね……」

○鷲沢社長:「銭形課長は昨年、中小企業診断士を受けて合格した。知っていたか」

●子犬課長:「ええ。知ってますよ。銭形さんを尊敬します。同じ営業課長で3歳も年下なのに、目標を達成しているし、資格まで……」

○鷲沢社長:「診断士の合格にはざっと1300時間の勉強が必要と言われている。厚生労働省が調べた平均値だ」

●子犬課長:「え……! 1300時間……」

○鷲沢社長:「日本人の年間労働時間が平均して1800時間だぞ」

●子犬課長:「どうやって、さらに1300時間を……」

○鷲沢社長:「銭形課長はその1300時間を有効に使ってムダのない勉強をしていたと思うか」

●子犬課長:「いえ、さすがにそんなことはないでしょう。銭形さんは資格挑戦は初めてと言っていましたから。勉強方法で試行錯誤したと思います」

○鷲沢社長:「日々こなしていく一つひとつの物事を『うまくいく/うまくいかない』で割り切らないようにしたほうが精神的に楽だ。そう思わないか」

●子犬課長:「そうかもしれません」

○鷲沢社長:「本を読むのもそうだし、研修を受けるのもそうだ」

●子犬課長:「顧客フォローも一緒ですか」

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