○鷲沢社長:「新人と言えば、昨年入社した2人のうち、もう1人をどう見ている。辞めると言い出してないほうだ」
●日高人事部長:「小清水さんのことですか。彼女は経理に配属されて元気にやっていると思いますが」
○鷲沢社長:「他に耳に入っている情報はないのか」
●日高人事部長:「ええ、別にこれといって何も耳に入ってきませんが」
○鷲沢社長:「耳に入らなければ元気にやっているということになるのか。新人への配慮が足りなくないか、人事部長のくせに」
●日高人事部長:「どういうことですか」
○鷲沢社長:「小清水は入社して半年ぐらいから産業医へ通うようになった。記録によると4回受診している」
●日高人事部長:「そ、そうなんですか」
○鷲沢社長:「どうも経理の主任との人間関係が良くないらしい。調べてみると彼女の残業がこの3カ月、異常に多い。生産性が落ちているんじゃないか?」
●日高人事部長:「なんていうか……。有名大学を出たお嬢様だからでしょう。プレッシャーに弱い性格なんですよ。彼女も採用ミスですな」
○鷲沢社長:「何だって」
●日高人事部長:「最近入社してくる子は本当に打たれ弱いんです。採用面接のときにそれを見抜けたら良かったのですが……。私の責任です」
○鷲沢社長:「さっきから採用ミス、採用ミスと言って殊勝な顔をしているが、新人の彼ら彼女らに失礼だと思わんのか!」
●日高人事部長:「だ、だって採用ミスに違いありませんよ。アヒルの子は結局、白鳥になんて、なれないんですから」
○鷲沢社長:「口を慎め! アヒルだろうが白鳥だろうが関係ない! 仕事ができるかできないのかの話だ」
●日高人事部長:「いや、社長……。ですから二人とも仕事ができないわけで……」
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