「働きがいの意味がわかっているか」
○鷲沢社長:「働きがいか。君は意味がわかっているのか」
●豪傑寺部長:「え……」
○鷲沢社長:「会社は君たちに給料を支払う。君たちは給料に見合う労働対価を支払う。給料をもらっている分だけ働くのは当たり前だ。当社は広告代理店だから、クリエイティブの部隊は一所懸命、製作物を作っている」
●豪傑寺部長:「はい。お客様からご評価いただいています」
○鷲沢社長:「営業は?」
●豪傑寺部長:「え……」
○鷲沢社長:「営業は給料分、何を作ってくれるのかね」
●豪傑寺部長:「……え、あの、その……」
○鷲沢社長:「営業部長の君がなぜ、それを言えんのだ!」
●豪傑寺部長:「ひぃ……」
○鷲沢社長:「悲鳴を上げるな、みっともない。営業が作るのは仕事に決まっているじゃないか」
●豪傑寺部長:「そ、そうでした」
○鷲沢社長:「給料以外に『働きがい』という報酬が欲しいなら、さらに何を作ってくれるんだ」
●豪傑寺部長:「えっ」
○鷲沢社長:「いいか、会社が求めている仕事さえ作っていないのに、さらに働きがいという精神的な報酬をもらいたいということじゃないか」
●豪傑寺部長:「……ええと」
○鷲沢社長:「まあいい。どうしても『働きがい』が欲しいというなら、何だろうな。営業の場合、『稼ぎがい』だろう。稼いで稼いで、こんなに楽しく稼いじゃって本当に嬉しい。こう思えるのは営業だけの特権だ。品がないことをまた社長が言い出した、と君の顔に書いてあるぞ」
●豪傑寺部長:「そんなつもりは……」
○鷲沢社長:「君は営業部のトップだ。部下にがんがん稼がせてやれ。稼ぐ喜びを植え付けろ。当社は広告代理店だ。お客様に稼いでもらうために、広告を取り扱っている。私たちが『稼ぎがい』を覚えていなかったら、広告など売れるか!」
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