「セクハラやパワハラは論外だが、ジタハラも許さん」

○鷲沢社長:「もう11時だから寝なさいと娘さんに言ったら、まだ宿題をやっていなかった、と答えた。君はどうする。もう遅いから寝なさいと言うのか」

●柳本課長:「そういうことは過去にないので……」

○鷲沢社長:「過去にないから考えなくてよいという発想は止めたまえ。君の悪い癖だ」

●柳本課長:「うーん、宿題をやらずに学校に行かせたくはないですね。悩みますが、がんばってやらせます」

○鷲沢社長:「何が正しいか、一概には言えないが、私もそうするだろう。その日の宿題はその日のうちに終わらせる。これを習慣にすることが大事だ」

●柳本課長:「社長、何をおっしゃりたいのですか」

○鷲沢社長:「もう少し私の話に付き合え。その日のうちにやる習慣が大事だとはいえ、毎晩12時とか、ましてや深夜1時まで宿題をさせるようなことはできない」

●柳本課長:「もちろんです」

○鷲沢社長:「それなら、どうやったら早く片付けて寝られるのか、それを考える」

●柳本課長:「そ……そう、ですね」

○鷲沢社長:「なぜ仕事でもそうしない」

●柳本課長:「えっ」

○鷲沢社長:「『えっ』じゃない。君はまだ仕事が残っている部下でも無理やり帰らせてるそうじゃないか。宿題が終わるまで頑張らせないのか」

●柳本課長:「そんなことはないですよ」

○鷲沢社長:「とぼけるな! 君の課のメンバーから直に聞いている。残業削減に協力しないなら評価を下げると部下に言ったそうだな。だが今期の目標指標に時短は入っていない。困った部下が営業部長に相談すると言ったら、君は脅したそうじゃないか」

●柳本課長:「お、脅しただなんて」

○鷲沢社長:「営業部長に告げ口したら、お前が見つけてきた大型案件を他の営業に渡す、それでもいいのか、と迫ったとか。紛れもなく脅しだな」

●柳本課長:「ちょ、ちょっと待ってください、社長。確かに言いましたが、酒の席です。冗談半分に言っただけで、いくらなんでもそれは……」

○鷲沢社長:「馬鹿野郎! そのせいで誰にも打ち明けられず、どうにもならなくなって私のところへ泣きついてきたんだぞ。これはハラスメントだ。時短ハラスメント、ジタハラだな。セクハラやパワハラをやる奴はほとんどの場合、自分がやっているという自覚がない。ジタハラの君もまさにそうだ」

●柳本課長:「そんな……。一人の言い分だけ聞いて私を責め立てるのですか」

○鷲沢社長:「新規開拓はどうなっている。他の課の連中が必死に新規開拓をしているのに君の課だけ、ほとんど開拓できていない」

●柳本課長:「……しかしですね、営業成績は落ちていません」