「機動力には連携が不可欠」

●球田コンサルタント:「ええ。ただし私は『機動力野球』になぞらえて『機動力営業』と呼びたいです」

○鷲沢社長:「機動力と言ったら、状況に応じて軍隊を素早く動かすことだろう」

●球田コンサルタント:「そのためには連携が不可欠です。戦車を海上輸送して敵地に素早く届ける。空母と巡洋艦と駆逐艦が高速移動し、空から敵を叩く。敵を撃破するために機動力営業を徹底しましょう」

○鷲沢社長:「お客様に向かって敵だとか撃破だとか言うな!」

●球田コンサルタント:「もう一つデータを見てほしいのです。営業のCさんを社長はどう評価していますか」

○鷲沢社長:「話を変えやがって……C君か。頭はきれるが結果は今ひとつかな。目標は一応達成しているが、彼ならもっとやれる。だから満足はしていない」

●球田コンサルタント:「そう言うと思っていました」

○鷲沢社長:「さっきから言っているが、まわりくどい言い方は止めろ! ズバッと言え」

●球田コンサルタント:「Cさんこそ機動力営業の申し子です」

○鷲沢社長:「どういう意味だ」

●球田コンサルタント:「どの営業が誰と絡んでいるか、全営業を調べたところ、Cさんが最も多くの人の商談に絡んでいたのです」

○鷲沢社長:「……」

●球田コンサルタント:「色々な商談の色々な場面で顔を出し、お客様のニーズを引っ張り出したり、後輩営業の背中を押したり、別の提案をしたり、実に色々やってくれています。ただし、すべてがCさんの手柄になっているわけではありません」

○鷲沢社長:「知らなかった」

●球田コンサルタント:「次のバッターのために、自分の成績を犠牲にしてでもランナーを進塁させようとする選手です。Cさんこそ、『フォア・ザ・チーム』の精神あふれる、機動力営業ですよ」

フォア・ザ・チームが機動力のカギ

 個人相手、いわゆるB2Cの営業なら、営業の行動力は極めて重要です。ただし、企業相手、いわゆるB2Bの営業となると、組織が相手ですから、営業も組織で戦わなければなりません。

 となると行動力だけではなく、チームの機動力がものを言います。行動力は機動力の前提ですが、個々人の行動力がいくら高くてもそれだけで機動力は高まりません。

 ここぞというとき、チームが勝つにはどうすればいいかを考えられ、場合によっては自分を犠牲にできる社員がどれぐらいいるか。それが機動力を左右します。

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