どんな営業目標も絶対達成する、ストレス耐性の高い組織をつくる。「絶対達成2分間バトル」は2018年もこのテーマを追求していきます。本年もよろしくお願いします。
ある程度のストレスに耐えることは目標達成のために不可欠です。ところが近年、「現場がやりたいことをやれる風土をつくれば組織の成果が最大化する」という考え方が蔓延しています。一歩間違えると、ストレスのかかることは避けて通る、軟弱な組織になってしまう危険があります。
新年最初のテーマは「パワーヒッター型の営業」です。鷲沢社長と球田コンサルタントとの会話を読んでください。
○鷲沢社長:「今年はなんとしても組織営業力をアップさせ、過去最大の成果を出したい。大リーグ仕込みのコンサルタントである君に期待するところ大だ」
●球田コンサルタント:「私を優勝請負人だと思って任せてください。必ず、御社を常勝軍団にしてみせます。どうぞよろしくお願いいたします」
○鷲沢社長:「頼むぞ。早速だが相談がある。予め仕込む営業の材料、『予材』を目標の2倍以上、積み上げているのに目標を達成できない営業が2人いる」
●球田コンサルタント:「予材管理、すなわち目標の2倍の予材を予め仕込んでおけば目標を絶対達成できるという手法をうまく使えない2人ですね。特定しています」
○鷲沢社長:「何が問題なのか、わからん。2人とも何度となく、お客様のところへ足を運び、信頼関係を築いてきた」
●球田コンサルタント:「膨大な予材資産を持っています。立派です」
○鷲沢社長:「しかし、実際には結果が出ていない。適性の問題だろうか」
「2人とも、なかなかの鈍感力です」
●球田コンサルタント:「2人の営業に同行して確認しましたが営業には向いています。どちらも楽観的でボール球を振ることはなかったですね。野球で言う、ボールゾーンスイング率は2人とも低いです」
○鷲沢社長:「ボール球に手を出す率か。営業の場合、お客様のネガティブな態度や姿勢にいちいち反応したり気にしたりする率になる、と君は言っていたな。それが低いなら営業向きだと」
●球田コンサルタント:「はい。ネガティブ・アティチュード・レスポンス率と私は名付けました。彼らはそれが低い。はっきり言うと鈍感ですね。2人とも、なかなかの鈍感力です」
○鷲沢社長:「褒めているのか」
●球田コンサルタント:「もちろん褒めていますよ。才能ですから。磨こうと思っても鈍感力を磨くことはできません」
○鷲沢社長:「鈍感力を磨く、という表現はしっくりこないな……」
●球田コンサルタント:「貴重ですよ。敵の反応がちょっと鈍いからといって、『脈がない』とか言う営業が多すぎますから。敵が嫌がっているかどうかなんて、本心を探らないとわからないのに」
○鷲沢社長:「お客様のことを『敵』と呼ぶな!」
●球田コンサルタント:「攻略する相手、商談を勝ち取る相手ですからね、敵ですよ」
○鷲沢社長:「まったく……。最近同じような言い方をする営業が増えてきたぞ」
●球田コンサルタント:「攻める、勝ち取る、そういうアグレッシブな姿勢がないと勝てません」
○鷲沢社長:「まあ、攻める姿勢が営業に出てきたのは喜ばしいことだ。それで鈍感力がある2人だが、お客様のポジティブなサインにも鈍感だったりするのか」
●球田コンサルタント:「いえ、2人ともストライクにはきちんと反応していましたから、営業の才能はあります。ただし、別の部分を磨かなければなりません」
○鷲沢社長:「なんだ、それは?」
営業には長打力が必要
●球田コンサルタント:「長打力です。野球は得点を奪い合うゲームです。得点するには、塁に出る率と、進塁させて得点する率を高めなければなりません」
○鷲沢社長:「出塁率を高める選球眼が才能ということだったよな」
●球田コンサルタント:「そうです。ボール球を振らないのはバッターとしての才能。これは統計でわかっています」
○鷲沢社長:「進塁させ、得点に結び付ける率が長打率ということか。なるほど、2人は出塁するものの、なかなかホームベースに戻ってこないのか」
●球田コンサルタント:「そうです。相手との信頼関係をつくり、予材が増え、予材が商談になり、成約までもう一歩のところまで商談を進めてきます」
○鷲沢社長:「うん、うん。順調じゃないか」
●球田コンサルタント:「しかし、ヒットを3本打ってノーアウトフルベースという絶好のチャンスをつくっても、1点も入らなかったりします。三者残塁です。長打率がないとこうなりかねません」
○鷲沢社長:「なんという効率の悪さだ!」
●球田コンサルタント:「長打率に相当する営業の指標を考えました」
○鷲沢社長:「君はなんでもかんでも指標だな」
●球田コンサルタント:「指標がすべてを表現してくれますから。数字が問題も解決策も教えてくれます」
○鷲沢社長:「どういう指標だ」
●球田コンサルタント:「平均商談リードタイムです」
○鷲沢社長:「予材が商談になってからクローズするまでの時間か。商談を長引かせず、スムーズに受注につなげる力があれば、商談リードタイムの平均は短くなるな」
●球田コンサルタント:「その通りです。商談リードタイムが短ければ短いほど長打力がある、パワーヒッターだということです。補足する指標として、残塁の度合も計測できます。平均失注商談リードタイムと名付けました」
○鷲沢社長:「失注に終わった商談にかかった平均時間か。聞きたくもない指標だな」
●球田コンサルタント:「それが長ければ長いほど残塁が多かったことになります」
○鷲沢社長:「2人とも長いのか」
●球田コンサルタント:「突出して長いですね。典型的な『いいところまで商談を進めるが、なぜかなかなか受注できない営業』です」
○鷲沢社長:「原因が見えたよ。クロージングのタイミングがわからないのだな。踏み込むべき時に踏み込まないから、先送りにされたり、他社に商談をとられたりする」
●球田コンサルタント:「ですから2人にはクロージングの特訓をします。クロージングのスキルは才能ではないのでトレーニングで身に付けられます」
○鷲沢社長:「2人を長打力のあるパワーヒッターに育ててくれ」
クロージングのスキルを磨こう
いいところまで行くが最後の最後でうまくいかない……。営業活動でも、どんな活動でも、そういうことがあります。
ここぞというタイミングで相手の背中を押す。相手がその気になっている時、それを見逃さず、攻めていく。
こうしたクロージングのスキルが問われます。それを磨けば、商談のリードタイムを短くでき、パワーヒッター営業になれます。
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