一流ホテルといいながら夜になると売春のあっせん電話がかかってくるのはご愛嬌としても、ホテルのサービスレベルなどは先進国と遜色ない。また、仏教国であるためか人間は温和で、詐欺まがいのタクシー運転手には、何十回と乗っても遭遇しなかった。

 私はヤンゴンで企業を視察し、さらに工業団地も見学してきた。ミャンマーでは、チャウピュー、ダウェイ、ティラワの3地区が経済特区として有名だ。ミャンマーは国営企業などが大半だったため、内需向けのみだったところ、輸出産業が育成されると考えられる。残念ながら、日系企業が多く進出しようとしているティラワ地区も、完全始動とはいいがたいものの、法人税が10年以上にわたって減税されることもあり、進出のメリットは大きい。さらにアジアのなかでもっとも安価な労働力を活用できる。なお、参考までに、最新調査年度がややまちまちではあるものの、アジア主要都市の工場労働者平均月収は次のとおりだ(単位:米ドル)。

  • マニラ(フィリピン):268ドル
  • ホーチミン(ベトナム):185ドル
  • クアラルンプール(マレーシア):418ドル
  • ヤンゴン(ミャンマー):127ドル
  • 広州(中国):462ドル
  • バンコク(タイ):363ドル

とミャンマーのコスト競争力優位がわかる。

ミャンマーの発展理由

 なぜミャンマーが発展しているか。そのヒントは中国にある。中国がミャンマーを開発しているのだ。なぜか。それは自国へのエネルギー政策の結果にほかならない。というのも、ミャンマーに原油があるわけではない。ミャンマーからアフリカに抜け、アフリカのアンゴラとナイジェリアから原油を調達するためだ。

 中国にとって、ミャンマーは、アフリカに抜けるサプライチェーン上の通過基地として欠かせない位置にある。そうしないと、中国はシンガポールをぐるっとまわるルートしか残されていない。

 中国がミャンマーを開発し、そして原油を運び、さらにミャンマーを通じて自国の製品をアフリカに送ろうとしている。物流上の拠点になれば当然ながら周囲の投資もさかんとなり繁栄が見込める。実際に、この動きに追従するように、外資系が多く進出している。ギャップ、アディダスなどのアパレルメーカーはまっさきにミャンマーに工場を立てた。2003年に経済制裁が課されたのちにはほとんどの繊維工場は絶望的な影響を受けたものの、経済制裁が解かれたあとは米国企業としてもコスト競争力のある国と映る。

 製造業の読者がいれば、このミャンマーという国は、これからのサプライチェーンを考えるうえで忘れてはいけない国になるだろう。新聞等では停電でまともなモノづくりはできない、ともいわれていたが、いまでは電機メーカー、自動車メーカーの相次ぐ進出もあり、少なからぬ工場では自家発電設備を有している。