お正月限定企画として、日経ビジネスの人気連載陣に、専門分野について2017年の吉凶を占ってもらいました。
今年はどんな年になるでしょう。
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 30度を超えていると表示する温度計。プールサイドで人目をはばからず大声で笑うお客たち。水しぶきを大量にあげながら泳ぐ中国人の女の子。そしてガラス越しに見渡すと、そのまわりにあるすべての空き地は建設中で、高層マンションかビルが立とうとしていた。ホテルの最上階のプールに入っていると、建設中の現場で働く男性と、何十メートルかを隔たりながらも、何度も目があった。

 12月のある日。私はフィリピンのマニラにいた。

 ビジネスの用事が終わったあと、空き時間を使って、はじめてレジャーらしきことをした。とはいってもわずか空いたのは数時間でホテルのプールで泳ぐぐらいしかできなかった。

 数年前にたった1000万円ほどだったマニラの中心地にあるワンルームマンションは、現在、5000万円の値を付けていた。中心地から少し離れたところには、数百万円であったワンルームも、いまでは1000万円以下を探すのは難しい。

 「ちびちびと預金をしたってしょうがありません。かならず価格が上がる投資先があるのです。日本人がもたもたしているあいだに、シンガポール人や中国人は次々にフィリピンの部屋を購入していきます」。紹介されたフィリピンの不動産屋からはそう聞かされた。私は残念ながら、ビジネス目的でフィリピンに来ており、不動産投資の目的はなかった。

 ただ、プールで泳いでいる最中にひたすら聞こえてきたビル建設の音を思い出せる。フィリピンの人口は2016年に1億人を突破した。もう交通渋滞は限界のレベルにまで到達している。しかし、マニラも人口の上昇は止まるところを見せない。しばらくは人口ボーナスで経済好況が続いていくだろう。

 ビールを2本注文したのち、お会計に進んだ。1800円。これはほとんど日本と変わらない水準にまでやってきている。いや、むしろ日本のほうが安いだろう。いつの間にか、私たちはむしろ後塵を拝する地点までやってきたようだ。

 私がマニラにいたのは、これ以降のビジネスについて交渉するためだった。このところ、海外に次なるビジネスの拠点をもとめて進出しようとする企業が多い。私はマニラから、ミャンマーにわたった。そして、そのミャンマーは、アフリカとつながろうとしている。

 サプライチェーンは次なる発展の地を求めてさまよう。2017年のサプライチェーンを考えるにあたって欠かしてはならない2国をあげるならば、ミャンマーとアフリカの大国ナイジェリアにほかならない。そして現在、いくつかの企業からこの2国のことを聞く機会が増えてきた。もちろん日本の景気を立て直し、内需を喚起するのも肝要だ。と同時に、新たな市場を開拓するのも重要であるに違いない。

ミャンマーの進展

 ミャンマーは、1人あたりGDPで2015年にカンボジアを抜いた。アジアのラスト・フロンティアは、もはや最貧国ではない。統計で使用される人口が正確かどうかはわからないものの、すくなくとも1人あたりGDP成長率は10%弱にいたる。GDP全体の成長率も2015年は8%弱を記録した。GDP総額は2015年に691億ドルとなった。ヤンゴンのホテルは200ドルを払わねば泊まれず、外国人観光客が溢れ、そして投資ラッシュに湧いている。いたるところに外資のレストランがオープンし、ビル工事が続いている。