なお、紙の冊子からはQRコードでアマゾンのサイトに飛ぶことができる。さらに、やはり手にとってみたい消費者のニーズをすくうために、アマゾンは「4-star store」を併設している。写真を見てもらうとわかるように、特設のおもちゃブースがあり、そこには有名なキャラクター商品が並び、さらに、アマゾンのプライベートブランドである商品が所狭しと並んでいる。さらには、「Highly Rated」として、アマゾンの星の評価が高い商品として、書籍は4.8点以上のものが並んでいる。

アマゾンのおもちゃ

 アマゾンが狙っているおもちゃはどのようなものだろうか。これもご覧いただくとわかるように、子どもたちが室内で遊ぶ、ウレタン(ソフトクッション)商品などのようだ。まずは、幼児のカテゴリーからはじまって、次に就学時向けの商品に広がっていくだろう。そのうち、キャラクター商品も、アマゾンが生産・販売するようになるのかもしれない。既存のおもちゃ屋は、既存商品を販売することしかできず、さらに、お客に興味もない(ように私には見える)。それにたいして、アマゾンは顧客に興味をもっており、かつビッグデータももつ。子どものニーズをとらえるのは、きっと必然だろう。

 たとえば、アマゾンで売れているおもちゃはなんだろうか。特撮ヒーローのベルトだとしよう。その良かったフィードバックはメーカーに届くだろうか。もちろん届くだろう。しかし、アマゾンの商品評価欄には、その数倍のデータが集まっているのではないか。あるいは、苦情はどうか。苦情もメーカーより、アマゾンへのほうがより多くの情報が集まっているのではないか。

 さらに購入者はどうだろう。冒頭で私のエピソードをあげた。購入者はもしかすると、父親や母親が大半であるとか、あるいは祖父母ではないだろうか。そうすると、両親や祖父母に向けたマーケティングが有効となるだろう。そうすると、子どもが「買いたい」商品ではなく、両親や祖父母が「買ってあげたい」商品が訴求性をもつだろう。さらに、購入時期はいつだろうか。ついでに買っている商品はなんだろうか。それらの情報をもっているのは、実にリアル店舗ではなく、アマゾンにほかならない。

 さらに、アマゾンのおもちゃを買った子どもたちは、次に何を買うようになるだろうか。そして、そのおもちゃを購入した(買ってもらった)子どもは、成長し、子どもができたときに何を買うだろうか、何を子どもに勧めるだろうか。

 アマゾンは、真面目に「ゆりかごから墓場まで」を実践しつつある。

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