全2587文字

 先週、改正水道法が成立した。今回の改正の目玉は「コンセッション方式」と呼ばれる、民間の持つノウハウを水道事業に活用する道を開いたことだ。政府は、民間企業の技術や経営にまつわるノウハウを生かし、地方自治体は運営を請け負った民間企業から対価を得られ財政負担が減るといったメリットを強調し新法を成立させた。コンセッション方式の是非は、既に様々な議論が行われている。今回は、コンセッション方式を軌道に乗せて、当初の想定通りに運営し、コスト削減を実現するために必要な準備について述べてみたい。

どのように水道事業に適応させるか

 注目を浴びるコンセッション方式は、地方自治体が行っている水道事業のすべてを民間企業が行うわけではない。水道供給施設は、引き続き地方自治体が所有し、施設の維持管理・運営だけを民間企業が行う。供給される水の品質は、国又は都道府県が地方自治体や民間企業を監督して維持する。値上げが危惧されている水道料金も、国又は都道府県が、地方自治体と運営を任された民間企業が作成する事業計画や料金設定を審査する。供給される水の品質は維持しつつ、民間企業が勝手に料金設定できない束をはめ、水道事業の基盤強化を図るとされる。確かに良いことばかりのように思える。

 コンセッション方式を実現するには、まず民間事業者に設備運営を請け負ってもらわなければならない。民間企業の活用は、請け負ってくれる企業が名乗りを上げ初めて実現する。果たして、手を挙げてくれる企業がいるのかどうか。複数の企業が名乗りを上げたとしても、果たしてどこの企業に発注するのが最適なのか。こういった水道設備の維持管理をベースにしつつ、自分たちの意向に沿った運営を行ってくれるかどうかは未知の領域のはずだ。

まず現状の仕組みを分かりやすく伝える

 一口に「水道設備の運営」といっても、その内容は自治体ごとにまちまちだ。地域ごとに水源が異なり、水質が異なる結果、運営方法が異なっている。したがって、地方自治体は、まず現在行っている浄水方法について、民間企業に分かりやすく伝える必要がある。

 これは、他の公共事業でも行われているし、民間企業の調達現場で行われている基本的なスキルである、要求仕様の確定作業が該当する。新たなスキームで行われる外部リソースの活用であり、仕様書の作成もかなり困難だと想定される。特に、設備の所有権が地方自治体のままで、どのように運営だけを切り離すのか。設備の破損や劣化、突発的な故障に際した責任関係を明確にしなければ、民間企業にとって魅力的なビジネスチャンスに映らないはずだ。もし、水道事業をコンセッション方式で運営を外部へ委託する場合は、まず分かりやすく要求内容を説明する資料の作成が必要である。