(写真=Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 豊洲市場の土壌汚染問題を解消する追加工事で、度重なる入札不調の結果、東京都が複数の案件で随意契約へ切り替えを検討している事実が、先週明らかになった。

 東京都が取り組む「入札契約制度改革」は、小池都知事の肝いりで、都政改革本部が進めている制度の見直しだ。昨年の12月には「1者入札」の回避が方針として示された。入札予定価格の事後公開化だけではなく、調達全般にわたる適性化の方針が示された。

入札は万能ではない

 供給者が複数存在し、互いに受注を目指して競争していれば、入札や競合購買によって発注者がメリットを受ける構図は成り立つ。複数のサプライヤーを競合させて、発注先を選定する手法は、民間企業の調達・購買の現場でも広く採用されている。

 しかし入札や競合購買は、複数の供給者が存在しなければ成立しない。一般的に入札や競合は、供給力に対して需要が少ない場合により効力を発揮する。競争が厳しく需要が少ない状態が長く続けば、供給者である企業数が減少する。入札や競合購買を行って効果的かどうかは、市場環境、特に需給の見極めが欠かせない。

需要のアップダウンに苦しむ建設業界

 建設業界は、長年受注減少に苦しんできた。国土交通省が発表している「建設投資見通し」を参照すると、1992年に対し2010年には政府・民間を合わせた投資額が半分にまで落ち込んでいる。2011年以降は、東日本大震災の復興需要、また2020年東京オリンピックの開催決定による会場整備や、安倍政権の登場以降は国土強靱化推進によって、建設投資は持ち直している。

 しかし2010年までの需要の落ち込みによって失われた建設業界の供給能力は、簡単には回復しない。東日本大震災の復興工事でも、たび重なる「入札不調」が取りざたされた。需要が超過状態なら、限られた供給能力を巡って、発注金額は上昇せざるをえない。

市場環境に合致した業者選定方法の選択

 今年の6月から試行されている東京都の入札改革は、税金の使い方を適性化する取り組みとしては有効だ。しかし、使う対象を誤れば効果は期待できない。公共事業であっても、受注するのは民間企業である。市場環境を無視した業者選定手法を採用しても、発注先は決定できない。