その意味で2016年に、あまりに明確になったのは、やはりネットとスマートフォンの勝利だ。リアル店舗ではなく、消費者はネットを選んでいる。米ウォルマートは「ブラックフライデーのイベント期間中にトラフィックの7割以上はモバイルからだった(More than 70 percent of traffic to Walmart.com during the retailer’s Black Friday event was driven by mobile.)」と述べた。また米ペイパルの興味深いレポートによれば、10人に2人はトイレのなかで商品を購入した経験を持ち、あるいは34%の消費者は妻や恋人が隣で就寝しているときに買い物をしている。これはリアルな店舗ではできない消費特性だ。

 もちろん街に繰り出して店に入り、そして散財する……といった習慣が一瞬で崩れることはないだろう。しかし、やはり徐々にスマホやネットの優位性が見て取れる。そのなかでも勝者と言ってよいのはやはりアマゾンだろう。

ブラックフライデーでも勝利したアマゾン

 集計の方法が不透明ではあるものの、各メディアが報じた数字を見てみると、今回のセールにおける、各商品の平均割引率は、企業ごとにわけると次のとおりだった。

  • ウォルマート:平均ディスカウント率33%
  • ターゲット:平均ディスカウント率35%
  • ベストバイ:平均ディスカウント率36%
  • アマゾン:平均ディスカウント率42%

 販売価格として、アマゾンがお客にしてみれば圧勝していることがわかる。消費者が価格に敏感になり、価格比較に精を出す時代にあっては、この差は大きい。

 さらに驚くのは、アマゾンが販売した中でアマゾン自身の商品がベストヒットしていることだ。その商品は「the Amazon Echo Dot」という。このマシンは、音声認識ソフトを搭載しており、いわゆる話せるロボットだ。サイズは手のひらに入り、Amazon Prime Musicを流すジュークボックス代わりにもなるし、キッチンタイマーにもなるし、家電のオン・オフも操作してくれる。ウーバー経由でクルマも呼んでくれるし、ドミノ・ピザの注文だってできる。

 このなかにはアマゾンのアレクサ(iPhoneに搭載されたSiriのアマゾン版だと思えばいい)が搭載され、「アレクサ」と声をかければ操作が可能だ。たとえば、「アレクサ、あれ注文しといて」といえば、日用品の発注も請け負ってくれる仕組みだ。

 このアレクサ対応の商品群は、あまりにも売れたために在庫切れとなった表示が続いていた。自社商品がもっとも売れ行きが良いとは、アマゾンは単に小売業ではなくなっている事実を示している。

Amazon Dash Buttonの日本発売

 12月5日から日本でも「Amazon Dash Button」が発売された。これは、商品が品切れのときにボタンを押すだけで補充してくれるサービスだ。ボタン自体は500円かかる。しかし、実質的には500円割引になりタダだ。

 これはアマゾンが米国で先行していたサービス「Amazon Dash」の進化版で、かつてはバーコードを読み取ることで即発注できていたものだ。注文のしやすさはそのまま購買量の増加につながっていく。日本で発売されたボタンを見てみると、洗剤アタック、サントリー天然水、ハミング、エビアン、レノア、キリンパーフェクトフリー、シーブリーズなど40種類を超えるものが販売されている。

 米国では前述の通り、Amazon Echoシリーズが発売されており、ボタンで押させる行為を進化させて、ロボットとの対話の中から消費を醸成させようとしている。おそらく、最終的には家の情報をすべて吸い上げて、自動補充まで支配することをアマゾンは狙っているだろう。良くも悪くもなにも考えずとも日用品はアマゾンが勝手に納品してくれる世界を目指しているに違いない。

 この自動化を私はさっそくトライしてみたいと思う。できるなら、Amazon Echoシリーズも日本展開とともにトライしてみたい。「うわ、俺、機械に話しかけてるわぁ」とむなしい気持ちになるか。それとも「うわ、こいつ(アレクサ)なかなか可愛いやつじゃん」と思うか、私の気持ち自体をテストしてみたいのだ。