(写真=shutterstock)

 私たちの会社では、サプライチェーン・調達・購買を主軸に企業へのコンサルティングを行っている。2018年も、はや終わろうとしているため、弊社への問い合わせから今年のトレンドを分析してみた。

 すると、もっとも多いのは、AI(人工知能)と働き方改革、そしてRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の三つだった。AIを活用して調達・購買業務を刷新できないかというもの。働き方改革を実践し、時短や付加価値業務を増やせないか問うもの。そして、業務をロボットに代替することで、既存業務時間のスリム化を図りたいというもの。

 弊社では、そのどれも対応できるため比較的に多忙な時間がすぎていった。そして、この三つに奇妙な共通点を見出した。それは、手段と目的が逆転していることだ。

 つまり、本来ならば「こういう課題があるので、AIを使いそれを解決できないか」という問題意識であるべきだ。しかし、実際には「AI関連の予算が確保できた。そこで、何かできないだろうか」という問い合わせが多い。もちろん、未知のものに対し、学習をする姿勢は素晴らしいと私は思う。

 ただ、働き方改革にしても、「その改革の先に、いったい何がしたいのですか」という問いの答えがなかなか出ないのには閉口した。RPAも、業務をラクにした先には、取り掛かるべき代替業務があるはずだ。いや、それが明確だからこそ、RPAを導入する動機があるのではないだろうか。しかし、実際には、手段と目的が倒錯した状況が続いている。

 ただし、もっといえば、他社がそういう状況だからこそ、「○○のために、AIを導入する」「○○のために、RPAを導入する」と明確にできた企業こそが強いのではないかと思うに至った。今では、AIもRPAもツールを選べば、非常に安価に導入できる。もっといえばフリーのものもある。さらにいえば、書籍さえ読めば、外部の力を借りずとも、すぐに導入できる。使用の目的が明確だったら、実践は簡単だ。

 AI活用の格差とは、結局のところ、明確な意思の格差ではないだろうか。

ウォルマートのAIラボ

 先日、米ウォルマートは、ニューヨークにAIの研究所を開設すると発表した。たとえば、小売店では商品在庫量が常に問題になる。ウォルマートは、在庫補充にAIを活用する意向だ。

 さらに小売店では、お客が来店して、効率よく店内を回ってもらい、客単価を上げてもらわねばならない。たとえば、お客が押すショッピングカートのスピードを計測したらどうだろうか。低速になってしまう箇所は、お客間の干渉が生じているかもしれない。あるいは、お客が商品を探してあちこちを眺めているかもしれない。または、ディスプレイが悪く、商品選別が遅れているのかもしれない。すると、そこに改善余地があるとわかる。

 米アマゾン・ドット・コムのアマゾン・ゴーはレジのない店舗を実現した。決済に関わる時間を圧縮して、お客に待ち時間のストレスがない買い物を実現させた。ただ、決済以外でも、さまざまな改善余地があるというわけだ。そこにAIを活用する。