中国の将来を担うと期待を託された習近平国家出席肝いりの国家級新区・雄安新区を訪問した(「習主席の肝入りで始まった開発区で味わった残念感」参照)。地理的に北京と天津と三角形を形作るこの地域にかける中国政府、そして習近平国家主席の期待は大きい。しかし期待の大きさと比較して、思惑通りに都市建設が進むかどうかは不透明である。まだ開発が発表されて1年半しか経過しておらず、開発計画は始まったばかりだ。現時点では、深センや上海に続く都市になるかどうかの確信は得られなかった。しかし、2017年に発表され、計画期間の完了は2035年とされる。現在進行中である開発の成否の判断を、現時点で行うのは早計だろう。

雄安新区の街の様子

中国政府の期待は大きい

 中国政府にとって雄安新区は、今後の経済発展モデルを担う地域であり、失敗は許されない。しかしこの地域を発展させるためには、これまで順調に経済的な地位を高め、世界で第二位のGDPを稼ぐに至った戦略とは異なるものが必要になるはずだ。そして、中国が今後も発展し続けるには、この地域の開発を推し進め、従来とは異なる産業の勃興を実現させなければならない。しかし、壮大な計画の前には、大きな困難が待ち受けている。雄安新区に課せられた「深セン、上海浦東新区に続く国家的な開発区」になるという使命から、今後の発展を占ってみたい。

首都分散機能

低層の建物が並ぶ新区内

 まず、中国の首都である北京から、非首都機能の分散、それによる人口の分散が計画されている。「非首都機能の分散」とは、首都機能に関係のない製造業や、教育、医療、行政機関の一部を北京市外へ移転する取り組みである。都市としての効率性を北京市が取り戻し、さらなる発展を実現するためには欠かせない取り組みだ。

 今回の訪問では、北京首都空港から雄安新区のある保定市まで、120キロメートルの距離の移動に、車で約4時間を費やした。現時点で移動の効率性が実現しているとは言いがたい。北京市の人口は2000万人を超えており、すでに世界でも有数の交通渋滞の激しい都市に数えられている。雄安新区と北京市を結ぶ交通インフラとしては、北京市とのほぼ中間点に新空港の建設が進められ、高速鉄道も(現在は1日2往復)開通している。移動にまつわる利便性は、地域の発展を支える重要なインフラだ。新区内外への移動の利便性が高まらなければ、北京市に集中している人口の分散は実現しないはずだ。この点は「千年大計 国家大事」のスローガンの下、今後大きく改善するであろう。

雄安新区では「千年大計 国家大事」を掲げる案内が随所に見られる