エコーにはアレクサという、音声認識のソフトが付与されている。アレクサに話しかけ、通信先の名前を語れば、アレクサがテレビ電話などでつないでくれる。我々は、スマートフォンを手に取って電話をする必要がなくなる。そしてアレクサは、他のデバイスに比べて圧倒的に多くの多言語対応力をもつ。

 また面白いと思ったのは、スマートフォンを持っていない子どもたちにも、世界とつながる機会を与えることだ。なるほど、諸外国でもスマートフォンが人気、といっても、未就学児童や低学年児童はスマートフォンを持っていない。しかし、家庭内に設置されたアレクサに話しかければ、遠く離れた祖父母にもコンタクトできる。

 彼らにコミュニケーションの手段を与え、そしてアレクサと友だちになっていく。

アマゾンスマートスピーカーの広がり

 アマゾンはこのアレクサを自社で独占しているわけではない。ライセンスを供与し、他のメーカーにも生産を認めている。例えば、Sonosの例がある。これは、アレクサを搭載したスピーカーだ。

 またアマゾンは先日、独BMWともパートナーシップを発表した。これはアレクサを仮想アシスタントとしての活用を狙ったものだ。アマゾンは先日、米フォード・モーターとも連携を発表したばかりで、ドライバーはデート中、運転をしながらレストランを探せたり、予約できたりする。このアシスタントがアレクサというわけだ。そのとき、ドライバーは駆動するために「アレクサ」と呼びかけなければならない。これは冒頭で紹介した「OK Google」と同じく、新たな挨拶語になるのだろうか。

 さらにアマゾンは、このアレクサがマイクロソフトのパートナーとなることも発表された。マイクロソフトは、Cortanaという仮想個人アシスタントを有しているが、その二者間で相互補完する。つまりアレクサユーザーも、アレクサを通じてマイクロソフトの電子メールを確認できるし、カレンダーも調べられる。さらにCortanaからもアレクサの力を借りて買い物ができるのだ。

 アマゾンのアレクサは、韓国LG電子の冷蔵庫とも連携することが決まった。冷蔵庫がネットワークにつながることによって、レシピの提供ができる。また、冷蔵庫内部にカメラを設置することでスーパーマーケットにいるときにも過不足ない買い物ができる。将来的には、食品の自動補充や、買い物リストとの自動連携なども視野に入っているだろう。

スマートスピーカーの将来性

 これからスマートスピーカー市場は、多くの挑戦者を待つことになる。アップル、サムスン、LINEは当然として、無数のサードパーティーがやってくるはずだ。

 しかし面白いのは、これが単にアシスタントではなく、これまでデータ化されていなかった個人活動のデータベース化を進める主体となることである。なんだかんだいって、個人が親交を深めるには会話を重ねる過程の果にある。とすれば、アマゾンの分身であるアレクサが、個々の家庭に入り込み、会話を重ねると、これまで全く想像もしなかったレベルで深い情報が手に入るかもしれない。

 どこまで信憑性があるのかわからないものの、現在、アレクサはスピーカーから自動車にいたるまで、なんと7000以上の商品やサービスに組み込まれる予定だという。

 そのデータは機械学習とAI(人工知能)によって、さらに同社のサービス改善に寄与するだろう。きっと、アレクサは、ジョージ・オーウェルの小説「1984」でいうところの、ビッグ・ブラザーと同じ意味になるに違いない。