(写真=PIXTA)

 10月1日、日本銀行から9月の全国企業短期経済観測調査(短観)が発表された。企業の景況感を示す「業況判断指数(DI)」は、大企業・製造業がプラス19と、前回6月の調査時のプラス21から悪化した。今回で3月以降、3期連続の悪化である。

 景況判断DIは、景気が「良い」「悪い」の回答数で計算される。「プラス19で悪化」とは、景況感を良いと感じている企業の減少を意味する。まだ景気が良いと感じている企業が過半数を占めるものの、その数が3四半期連続で減少しているのである。発表結果で示されたトレンドが続けば、景気悪化が進む。ビジネスパーソンであれば誰でも気になる話だ。

サプライチェーン管理は需要と供給を一致させること

 サプライチェーンを通じて景気動向を感じるには、売買量をチェックすれば良い。関連企業の景況感も理解できるし、先々の見通しから将来的に自社が関連する業界の景気動向も確認できる。今回、日銀は景況感が先々悪化する可能性を示した。この結果を、すべてのビジネスパーソンは「本当か?」と疑うべきである。もし現実化すれば、自分たちのビジネスにも影響が大きいはずだ。そうなると景気悪化の好ましくない影響を最小限度にとどめるための準備が今、必要なのである。

 サプライチェーンの管理を一言で表せば、需要量と供給量一致への取り組みである。したがって、日銀短観の発表内容を受けて確認する対象も、2つの方向が存在する。まず、需要動向。そして供給動向である。企業の調達部門であれば、社内の営業へ需要動向を、そしてサプライヤーへ供給動向を確認するのである。

本当に需要は存在するのか

 まず需要動向の確認について。筆者は昨年から、コンサルティングの現場で、サプライヤー能力を確保するための方法論に関するサポートを行っている。現場の実感として、自社とサプライヤーの供給能力を無視した営業活動が気になる。根拠の無き需要を増加させる可能性がある。ある製品では、月産能力が3万個にも関わらず、1カ月あたりの受注量が4万~5万個にも達していることがある。社内人員を配置転換し、採用強化によって生産量アップに努めているが、とても要求される需要量が満足できず、受注残が増え続けている。

 見方によっては、とても景気の良い話に見える。しかし、膨らむ受注残を減らすため、生産能力の増強を社内とサプライヤーに行っている中、景気後退が現実になれば、どのような事態を招くだろうか。在庫が積み上がり、せっかく確保した人員も余剰化する可能性が高い。特に人員面は、今後人手不足がより深刻化する。景気のよしあしは従業員一丸となって乗り越えるべき課題であり、貴重な人材を景気悪化による影響の調整弁にする企業に未来はない。したがって、増員した従業員をこれからも雇用し続け、業績拡大に活用するためにも、確実な需要の存在確認が欠かせないのである。