今、下請け企業に必要な「てこ入れ」と「意識改革」

 今回の「未来志向型の取引慣行に向けて」を、広く日本の産業界に浸透させるには、法人数の0.03%と言われる大手企業だけではなく、多くが下請け企業である中小・零細企業にこそ、実効性のある対策が不可欠だ。対策の第一歩は、事業環境の基礎的な条件である商取引に関して整備された法令の確認だ。法律で守られている点は、淡々と主張し最低限の取引条件を確保する。

 その上で、本当に必要なのは、「3何」に代表されるダボハゼ的に、何でもかんでも仕事が欲しいといった姿勢ではなく、自社の優位性や特徴を、商談におけるコミュニケーションを通じて相手に伝える「能力」、最後は理不尽な発注条件を目の前にしたときに受注を辞退する「覚悟」だ。数少ない需要をえり好みしたら、事業など継続できない、そんな意見もあるだろう。でも、自社の優位性で生みだした製品を顧客に選んで買ってもらうのがビジネスの基本だ。

 そして大手企業の調達・購買担当者だって、受注辞退=局地的に発生するサプライチェーンの断絶、を恐れている。大手企業が下請け企業を選別するのと同じく、下請け企業も顧客を選べるのだ。下請け企業は、与えられた武器(下請け代金法に代表される法律)と、自分達で創り出す武器(技術/事業優位性)の2つを活用して、もっと自立して儲ける道を探るべきだ。

 実際、儲けている下請け企業には、今回の要請など必要ないはずだ。今回の要請は、自動車業界を皮切りに、他の業界にも波及するだろう。下請け企業にこそ、今回の要請内容の正しい理解と、適切な活用が必要なのだ。