キャッチフレーズ

ブース全体のビュー

 そして、実際にブースの前で立ち止まったとしよう。すると、次に④が目に入る。ここには通常、会社名やキャッチフレーズなどが記載されている場所だ。

 もしかすると、訪問者によっては、①→④→②→③と視線が動くかもしれない。ただ、なんにせよ、訪問者は会社名を確認しようとする。これは不思議なことで、取引先の実力や、製品が優れていれば、べつに会社名など、どうでもいいはずだ。しかし、なぜか名前や、あるいはキャッチフレーズで、その整合性を確認しようとする。

 そんなとき、①で見た内容と、④にある会社のキャッチフレーズが乖離していると、奇妙な感覚に襲われる。プレス部品の短納期化が売りだったはずなのに、「プレス部品を通じて、世界の子どもたちに笑顔を!」などと書かれていると、不協和が流れる(もちろんこれは極端なたとえだ)。

 そして、①でも④でも、キャッチフレーズのわかりやすさが大切だ。

 ドリルを買いに工具屋に出向くひとが必要なのは、ドリルではなく、穴だ。しかし、売り手からすると、どうしても商品の機能ばかり強調したくなる。私のコンサルタントの師匠は、「自分が商品を売ってお客が効用を感じるまで『自分→商品→お客→効用』の図式を思い浮かべたあと、『商品』にバツ印をつけろ」といっていた。お客にとってみれば、商品はどうでもいいのであり、効用こそが重要だ、と。

 振り返って、展示会を見ると、キャッチフレーズに自社の商品名や、工法名を大きく記載するものが多い。正直、こちらにすれば、商品も工法も知らないので、いったいどのような効用があるかがわからない。だから、それを見ても立ち寄ろうと思えない。

 よく調達・購買部員は「コストにしか興味がない」といわれる。私の実感では、コストよりも、納期に困っているひとたちが多い。ただ、調達・購買部員を相手にしない、という方針はあっていい。それは企業の自由だから。それにしても、品質なのか技術なのか、工法なのか、納期なのか、ぱっと見た目で効用を感じさせなければいけない。そうしないと、設計でも開発でも、生産管理でも食指が動かない。

 また、たまにギャグのフレーズを掲示している企業がある。あれは見ている方も恥ずかしいので止めたほうがいいと、私は思う。