これは来訪者が進行しているさまを背後から見ていると考えてほしい。矢印が進行方向だ。そのときに、来訪者の右側に出展ブースがあるとしよう。

出展ブースが右側にあったとする
天井からのビュー

 このブースを天井から見るとわかりやすいが、来訪者がまず目に入るのは①の展示物やPOP、ポスターとなる。ここで、なにやら面白そうだとか、興味に合致すると思ってもらい、そこから立ち止まり(この立ち止まらせるのが難しいが)②→③と視界に入れてもらわねばならない。

 ②には①の続きとして、③には②の続きとして、ある種のストーリーがなければいけない。たとえば、①に「どんなプレス部品でも即日納入できます」とする(これはあくまで例だ)。そうすると、②には「プレス工程の無人化で、受注から生産まで2時間で開始」とあり、③には「大企業の納期短縮事例」「生産事例」などがあるとわかりやすい。

 しかし意識的に見ると、この動線方向に無頓着で、①に何も掲示していなかったり、よくわからないゴチャゴチャした試験データや、なんの意味もない理念をデカデカと謳ったポスターが貼ってあったりする。

 かつての私のような、調達・購買かあるいは技術部門の訪問者は、数秒単位で、「ここは見る価値があるか」「見る価値がないか」を判断している。さっと通路を進み、振り返る間もなく通り過ぎていく。

 まずは振り返ってもらうことこそ重要だ。もちろん私たちも、すぐれた企業は見逃さないようにしたい。しかし、こちらも無数の情報のなかで取捨選択しているため、どうしても「わかりやすさ」は重要になってくる。

 ところで、この展示の工夫は難しいことではない。単に出展者が訪問者の気持ちになって、歩いてみればいい。繰り返すと、私は展示会のコンサルタントではなく、調達・購買・サプライチェーンのコンサルタントだ。見る側の立場から、残念な展示を解説している。その点からも、まず動線を意識した展示を勧めたい。