倉庫検索サービス

 これは日本にも類似のサービスがあるものの、紹介したい。現在は米国とカナダで展開している。米Flexeだ。同社は、倉庫のマッチングサービスを行っている。日本や他国でも、居住地以外の倉庫を時間貸しするサービスが増えてきた。このFlexeも、そこに目をつけ、仲介に徹している。

 例えば、このページを見ていただければ、郵便番号から空き倉庫を検索ができる。すると、各地のパレットごとの料金が提示され、その倉庫を写した写真も確認できる。

 ホテルは典型的な固定費ビジネスで、使わないよりも、稼働率を高めたほうがよい。だからホテルは空き室が出るぐらいなら安売りをはじめる。考えるに倉庫ビジネスも固定費ビジネスだから、貸し手にとっても利益があるはずだ。特に突然の販売増で、自社倉庫では間に合わないケースもあるだろう。そのような場合、小売店が使えるスペースを提供できれば価値がある。

 ここでもやはり「つなげる」ことが価値を持っている。

倉庫作業補助機器類

 そして、作業者の負担軽減につながる倉庫作業補助機器だ。まず、インドGETVUは作業者がハンドフリーとなるような3Dグラスを発表している。同社の技術を説明するのは難しいが、作業者のグラスに対して視覚的情報を与える。対象物に作業者が何を行えばいいかが明確になる。

 加えて、米XOEyeは、タブレット、クラウドと連携した商品を発売している。もともと同社は機器類の保守点検などのシーンを想定していた。作業者が配線などを点検する際、その画像を本社にフィードバックすることで、適切な作業をフィードバックしてもらえる。それは倉庫内での各種作業にも使えるというわけだ。

 米Atheerairは、医療機関向けのデバイスを発表している。同社のスマートグラスを使うことで、患者ごとに健康データを把握できる。さらに、手術の際、細かな状態管理もできる。そのグラスをかけると、あらたなデータ空間が見えるようになる。

 これまで倉庫では書類をもちながらピッキングせねばならなかった。それを同社の技術を用いたグラスは解放する

スタートアップとサプライチェーン

 これ以外にも、多くの企業が生まれ、そして資金調達を加速させている。ご覧いただけたらおわかりのとおり、技術的に全く新しいものではない。どちらかというと、日本勢が優位的なものもある。ただ、この世界では、まず広め方がうまい企業が勝つ場合が多い。

 また、グーグルグラスなどは、さほど展開できずに終わった。しかし、形を変えて、倉庫内や保守点検など産業用であれば広がりそうだ。そのように、使用法を提案することでも、市場に価値をもたらす。

 他分野で出てきた技術を自らの分野に適用することを考えるのも面白いだろう。

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