日ごろ、調達物流やサプライチェーンのコンサルティングに従業している。これまでは、調達物流部門といえば伝票や商品を右から左に流しているだけ、と思われていた部門だった。しかし、東日本大震災でサプライチェーンが寸断したり、熊本地震でも部品供給がストップしたりしたため、注目を浴びるようになった。
また現在では、欧米企業のいわゆるスタートアップ(立ち上げ間もない新興企業)が、このサプライチェーンやロジスティック領域に参入している。そこで、今回は、その潮流と企業例を紹介したい。
動画へのリンクもところどころに設定しているので、ぜひ、各企業の様子をご覧になっていただきたい。読者にとってビジネスのヒントになればありがたい。
3D技術による最適梱包
まず梱包領域だ。商品や製品をくるむ、あれである。
イケアの「フラットパック」なる概念が有名だ。このフラットパックとは、製品の設計段階から梱包を検討することで、物流における最適な梱包を実現する。設計者は、デザインした家具をダンボール(フラットパック)に入れたとき、それが40フィートコンテナに何個積めるか計算しなければならない。たくさん運べるように形状を工夫する。
この取り組みによって、物流費の削減に加え、損傷リスクや保険費用を抑制できた。イケアのように設計段階から、とまではいかなくても、梱包をできるだけ最適に近づけたいというニーズがある。
米QubeVuは、ここに目をつけたスタートアップだ。同社のシステムは、3Dで商品や製品を読み込み、瞬時に製品寸法等を計測。そして、最適な梱包サイズを割り出す。実際に動画を見てもらうと理解しやすいだろう。
倉庫内配送
倉庫内を配送するロボット製造にもさまざまなスタートアップが登場している。例えば、米Seegridは新しいタイプのAGVを開発している。AGVとは、無人搬送車のことだ。
これまたビデオを見ていただければわかる。まず同社のAGVは安全性があがっているのみならず、操作方法が簡易的だ。オペレーターはAGVの手を引いて(これは比喩ではない)ルートを教えてやる。そしてピッキングなどを教えてやる。さらに倉庫内の移動ルールなども教えこむと、そのとおりに動いてくれる。
さながらペットのような動きをし、なかなかAGVが可愛く感じてしまう。人間が操作する機器類との激突も少なくなるよう設計されている。
在庫管理システム
米Temandoは、在庫管理のクラウドソフトを作成している。単なる在庫管理ではなく、フルフィルメント(商品の注文受付から出荷まで)のすべてのプロセスでも使えるもので、さらにさまざまなERPや物流業者のシステムとも連携できる。
フルフィルメントの分野でいえば、インドのDelhiveryも注目に値する。同社は、他のベンチャー企業が商品販売を開始したときに、倉庫や梱包のノウハウ、受注管理ノウハウなどを有していないところに目をつけた。そのプロセスのすべてをアウトソーシングとして受注する。
パートナー企業は商品さえ用意すればよいことになり、すべてを同社に委託できる。さらに、代金回収業務までを担い、代金回収後12~48時間後にはその代金を売り手に送金する。
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