米国の消費者は年間で370億時間を買い物に消費しているといわれる。米国の人口3.3億人で簡易的に計算すれば、一日に、370÷3.3÷365=0.3時間を買い物に費やすことになる。さらに、米国ではまだ9割以上が、ネットではなくリアル店舗からの買い物だから、とされる。このなかの大部分がレジに並ぶ時間なので、同社はレジを簡易化することで、小売店の効率化と売り上げの上昇を期待している。

 そしてZippinのモデルは技術を小規模小売店に販売し、そして月額の課金で儲けていくビジネスモデルだ。土地をもっているビジネスオーナーで、小売店を始めたいひとがいれば、Zippinの技術を享受することで、キャッシュレスの店舗が実現できる。

 また、同様のサービスをイスラエルのTrigo Visionも提供しようとしている。同社の強みは巨大なスーパーマーケットにも拡大できるとした点だ。大規模店舗でも無人化レジを開始できるコスト的なメリットは大きい。まだサービスの提供はまだであるものの、1年以内には実装可能のようだ。

 このTrigo Visionは、必ずしも会員しか入れない店舗を想定していないようだ。ただ、レジを通ると、それまでに買い物かごにいれた商品が認識されているから、支払いはすぐにできる。一つひとつのバーコードを読む必要はない。もちろん、その際は、万引きの発見機能も付与するようだ。

 またスマートフォンで検索すれば、その店舗内のどこに目当ての商品があるか確認もできる。さらに、特売品の通知も可能だ。

 無人レジの取り組みは、世界中で各社が取り組んでいる。さらに客寄せにもなる。Amazon GO を体験しに、世界中のジャーナリストやコンサルタントたちが同所を訪れている。たしかに、無人レジ店舗と、伝統的なコンビニが身近に並立していたら、無人レジ店舗に行ってみたいと思うかもしれない。

 コンビニはこれまで時間節約型の店舗を志向してきた。店舗に入り、目的の商品をさっと手に入れ、短時間で出る。時間節約型だからこそ、無人レジのフォーマットが広がるのは、利便性をあげることにつながるだろう。

 さらに、各社が開発に取り組み、かつ、発表することで、導入コストは下がっていくだろう。

2タイプに分けられるリアル店舗の刷新

 本稿の前半では、リアル店舗を活用したブランド向上にグーグルまでが取り組むかもしれない可能性を示唆した。GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)と頭文字で呼ばれるケースが多い。そのうち3社もがリアル店舗をからめた戦略で世界中のひとたちを籠絡しようとしている。

 後半では、リアル店舗に新たなテクノロジーをくわえ、それでリアル店舗の新たな覇権を志向する例を見た。

 単純に分けられるものではないが、小売には対面型と、セルフサービス型がある。文字通り、前者は店員と話しながら丁寧に商品を販売するもの。後者は、お客に自ら商品を選んでもらい販売するもの。

 前者で、たとえばアップルストアは、美しいショップでiPhoneを売ってはいるが、実際に売っているのはアップル経済圏へのチケットだ。百貨店では、衣料品を買うと、それでおしまい。しかし、アップルは、iPhoneやiPadを買うと、それ以降、折に触れてアップルのサービスにお金を落とす。そしてセルフサービス型では、より効率性と時短志向を徹底することに、次なる一手があるように思われる。