3回目で恐縮だが、神頼み、というのは冗談かもしれない。しかし、日本のどこで震災が起こっても影響を免れない、という意味では、やはり笑えない。そこで、調達部門の諦観がふたたび聞こえてくる。「坂口さん、ということは、もう自動車自体を作るなってことでしょうか?」「いえ、それは違います」「ああ、そうなんだ、よかった」「どんな業界でも影響があるからです」「そりゃ、別の意味で困るな」。

 同じく独立行政法人経済産業研究所「被災地以外の企業における東日本大震災の影響」から見てみよう。

産業別の震災被害の影響

 産業ごとに因数分解してみても、結果は同じである。金融、医療・福祉、あるいは教育などはやや低い70%台だが、それでも70%台である。

それで結局どうすればいいのか

 しかし、絶望的な事実だけ指摘しても仕方がない。では、どうすればいいだろうか。もちろん魔法の杖などない。複雑系の世界では、少しずつ少しずつ改善していくしかない。それにすべてをカバーできるリスクヘッジ策など存在しない。

 そのうえで――。稚拙な言葉だが、これからはリスクマネジメントではなく、クライシスマネジメントが重要になるのではないだろうか。事前にリスクを0にする試みではなく、万が一の震災が起きてしまったときに、いかに早く復旧するか。そのクライシスマネジメントに重きを移行させねばならない。そうしないと、解決策のないなかで呻吟するだけだ。

 さらに、稚拙な言葉で良ければ、それは「土壇場でお願いできる力」になるだろう。緊急時、震災時に、メーカー間の垣根や、しがらみなどを超えて、とにかく「お願いだから代わりに造って」とお願いする力。そして、代替生産を説得できる力と、それを納得させるように、日々、関係を構築しておかねばならない。

 東日本大震災でも、もっとも復旧に役立ったのは、他のサプライヤーが代替生産してくれることだった。熊本地震でも、同様の動きがあった。もちろん、平常時に、競合サプライヤーの製品を代理生産などしない。しかし、緊急時にのみ、その垣根は取り払われうる。そこに、これまでにない、真のマルチソース化の可能性がある。

 いや、おそらく、マルチソース化の可能性があるとすれば――、私はその意味でしか、もはや信じることはできない。