教科書は、このような計算と、それに伴う順位付けを行うように勧める。しかし、現場の調達部門はここで詰問された気分になる。というのも、自動車などであれば数万点の部品から構成される。それをすべて定量的に計算するのは難しい。それでは、「部品の重要度でわけて、上位品だけ評価してもよいではないか」というトップもいる。しかし、重なる震災でわかったのは、重要度が低い部品であっても、納入されなかったら結局のところ、自社ラインが止まる事実だった。

 だから教科書が伝えるテーゼは使えない。というか現実的ではなかった。だから、もう一度、あのボヤキが聞こえる。「坂口さん、あのね。結局は、震災がこないように神頼みしかないんじゃないかって部内で話していたんですよ」「鋭いですね」「鋭いの?」「ええ、神頼み。素直でいいじゃないですか」「ここで意見が合ったら困っちゃうな」。

サプライチェーンの分散化は進んでいるか

 神頼み、はさすがに冗談かもしれない。しかし、確認してみよう。「平成26年確報 工業地区編」から、地域ごとの偏りについて見ることができる。

各地域の輸送用機械製造品出荷額シェア

 これは、「各地域の輸送用機械製造品出荷額シェア」としているが、いわゆる自動車関連産業の比率だと思ってもらいたい。これを見ると、トヨタ自動車関連の中部が約半分を示している。そして、日産自動車やホンダの関東が20%強、そしてその他、といった状況だ。

 現在、日本の各断層が引き起こす今後の地震発生確率については諸説あり、確かなことはいえない。地震学者が苦悩するのも当然で、データが少なすぎ、予測が難しい。ということは、「いつ、どこで大地震が起こってもおかしくない」と思わねばならない。

 ただ、中部、そして関東への偏りはあきらかだ。繰り返すと、神頼み、は冗談かもしれないが、あながち笑えない状況がここにはある。

日本の企業連結状況

 運良く、あなたの企業は取引先が分散しているかもしれない。しかし、やはり安心はできない。独立行政法人経済産業研究所が発行した「被災地以外の企業における東日本大震災の影響」というすぐれた報告書がある。この報告書では、非常に興味深く、怖い事実が指摘されている。

地域別の企業の割合

 これは、このレポートのタイトルにあるとおり、東日本大地震で被災した企業を示す。0次は自社で、1次がその取引先、2次が取引先の取引先と考え……5次までを表現している。

 すると、0次の東北は、日本の中では2%と、大きな値ではない。しかし、1次取引先として被災した企業(東北の企業)とつきあいがある企業は徐々に増えてくる。驚くのは、2次取引先までを考えると、九州の企業であってすら、被災企業とつきあっている比率が43%にもいたる。

 そして、5次取引先になると、ほぼ100%になる。ほぼ、と書いたのは、確かに例外が数パーセントあるからだ。ただし、この数パーセントの例外を除けば、ほぼ日本中がつながっていると見ていい。