二つ目の環境変化は、社会の変化だ。国内の水道供給は、地方自治体が水道事業として運営している。上水道設備は高度成長期に整備されたものが多く、近年大規模災害発生時におけるライフラインの存続と、平常時の水道設備の維持、そして更新が大きな課題となっている。また人口減少によって、水道利用者が減少する中で、設備の維持と更新に必要な費用をどう工面するか、各水道事業体の大きな課題だ。

水不足解消に貢献する

 水を取り巻くサプライチェーンは、一朝一夕には解決しにくい問題によって供給不足が懸念され、そのリスクは毎年どこかで顕在化している。二つの環境変化には、抜本的な解決を導く取り組みを個人レベルで実施することは難しい。しかし水不足の影響を、個人レベルで緩和する方策はある。

 東京都墨田区大阪府では積極的に雨水の活用をPRしている。タンクにためた水は非常時に活用できる。上水道で供給される水を、飲料用や炊事など限定的な用途に活用すれば使用量の削減が可能だ。電気やガス、水道といったライフラインは、重要なピーク時にも滞りない供給が求められる。ピークの値を下げれば、設備のキャパシティーの減少ができる。

バーチャルウオーターで世界最大の水輸入国、日本

 また、水のサプライチェーンを考えるとき、「バーチャルウオーター」にも言及する必要があるだろう。バーチャルウオーターとは国内で実際に消費する水の量以外に、日本が輸入する資源を生産するために輸出国で消費された水の呼称だ。農業生産には多くの水が使用され、世界の水使用量の約7割を占めると言われる。日本は世界最大の農産物輸入国だ。もし輸入する農産物を日本で生産するとしたら、相応の水資源が必要になる。バーチャルウオーターを含めれば、日本は世界一の水輸入国であり、国内の水資源量では賄えない水の消費になるのだ。

 日本における1人あたりの水使用量は減少傾向にある。生活のあらゆる場面で実現された節水への取り組みが実現した成果だ。しかしバーチャルウオーターまで含めると、現在の国内における水供給システムでは賄いきれない。国民1人あたりの水消費量は世界一になってしまう。

 目に見える水消費だけではなく、バーチャルな潜在的な水消費まで含めて考えなければ、水不足を抜本的には解決できないだろう。世界的に見れば、今後水資源の不足は確実視されている。日本国内の渇水問題も、サプライチェーンでみればグローバルな問題へと発展する。例えば、日本の浄水技術を活用し、飲料に足る蛇口から出る水を世界に広げる。世界の水不足解消への貢献によって、サプライチェーンに組み込まれた日本国内の水不足に効果を生む日が来ると信じている。