7月9日から首都圏の通勤ラッシュ解消を目的として東京都が主導する時差通勤「時差Biz(ビズ)」が始まった。実施期間は8月10日までの約1カ月。参加企業も、昨年と比較して約2倍の700社が名乗りを上げている。電車通勤が「痛勤」と揶揄される状況を改善し、2020年の東京オリンピック・パラリンピック期間中の混雑緩和に向けた社会実験も兼ねている。

 東京都の「時差Biz(ビズ)」ホームページには、時差Bizを「時差Bizとは、通勤ラッシュ回避のために通勤時間をずらす働き方改革のひとつ」と定義している。特定の時間に集中する需要を分散して、電車の混雑を緩和するのが狙いだ。ホームページを読み進めると、個人と参加企業それぞれのメリットが示されている。個人のメリットは、通勤でのイライラの解消や、通勤時間の有効活用、そして朝早く出勤して夕方は早く帰宅するといったプライベートの充実とされている。

 東京都は、昼と夜の都内にいる人数を「昼間人口」「常住人口」として、その比率を発表している。2015年のデータでは、昼間人口が1592万人、常住人口は1352万人となっており、昼夜間人口比率は117.8人と昼間の方が多い。これが区部に絞り込むと129.8人となっている。区部の流入人口は318万人であり、これが「痛勤」の原因だ。

もっとも簡単なカイゼンは「なくす」こと

 都内に通勤するビジネスパーソンは、その多くがオフィスワークを中心に仕事をしていると想定される。もちろん顧客を訪問するといった、物理的にその場所へ行く必要がある仕事もあるだろう。しかし、メールでコミュニケーションするのであれば、そもそも物理的にオフィスにいる必要すらない。

 サプライチェーンの管理には、上流から下流へ向けたモノの動きと、その動きを管理するための下流から上流へ向けた情報が欠かせない。各企業では、自社だけではなくさまざまなサプライヤーが関連して、サプライチェーンを構築している。すべてのサプライチェーン参加者とのコミュニケーションが成功しなければ、サプライチェーンは効率的には機能しない。そのようなコミュニケーションを実現するためには、インターネットを活用した新たなコミュニケーション技術を活用しなければならない。物理的な空間の共有を前提にしたコミュニケーションでは、サプライチェーンはコントロールできないのである。

 もちろん、直接会って行うコミュニケーションで伝達される情報量は、メールとは比べ物にならないほど多い。したがって、オフィスに出向いて仕事をする自体は全否定しない。ポイントは、毎日決まった時間にオフィスに行く必要があるかどうかだ。