インターネットの画像検索機能で「サプライチェーン」を調べてみると、ある特徴に気づく。どの画像も共通して、サプライチェーンの構成要素が横一線で複数並び、それぞれが連結しているのだ。1本のチェーンを横に長く置いたようなイメージだ。構成要素は業種によって様々だが、例えばこんな図だ。

 こういった図に1本矢印を加えただけで、先進的な取り組みを表明した企業がある。米アップルだ。4月22日に自社ホームページの「環境」に、2017年の進捗報告書の概要を掲載した。その中の「資源」ページには、私たちがよく知るサプライチェーンに、矢印をたった1本加えた図が登場する。その矢印は「ユーザーによる使用」から「加工」に向かってスッと引かれたものだ。矢印には「再利用とリサイクル」とただし書きがついている。

 アップルはシンプルに、従来のサプライチェーンに1本矢印を加え「クローズドループのサプライチェーン」の実現を印象づけた。アップルの戦略は明確だ。「再生可能な資源又はリサイクルされた素材のみを使って製品を作る、クローズドループのサプライチェーンを目指すべきだ(アップルのホームページより引用)」とある。

 また以下の動画を見てもらいたい。少し前の3月21日、アップルジャパンがYouTubeで公開したものだ。「Liam - イノベーションストーリー」では、役割を終えたiPhoneがロボット「Liam」によって分解される工程が描かれている。Liamが2台並んで稼働すると、年間240万台ものiPhoneが分解できる。この2つの情報によって、アップルが自社製品のリサイクルに取り組む明確な決意と姿勢が理解できる。

アップルジャパンが公開したiPhoneをロボットで分解する様子を紹介した動画

 グローズドループのサプライチェーンなど不可能だ。そんな意見もあるだろう。しかしレアアースの供給が不安定化したなか、それらの使用量を抑え、代替え原材料を使用した製品開発が新聞紙上をにぎわしたこともあった。レアメタルやレアアースは、産出国や精錬方法にまつわる様々な問題を抱えている。電気自動車やハイブリッド車には不可欠のモーターは、レアメタルやレアアースの塊と言われる。これから市場の拡大が期待される製品の構成部品に必要な原材料としては、供給体制は極めて脆弱でありリスクは高い。できれば、使用量は少なければ少ない方が良い。リサイクルの結果、再利用ができれば調達リスクの軽減にもつながる。