私はテレビの情報番組でコメンテーターをやっている。また、他の番組にもゲストで呼ばれる。印象的なのが、故・竹田圭吾さんで、「ああ、どんなことにも的確に返す方だな」と感心したことがあった。

 たとえば、何かの不祥事について問われた際に、正義を前面に押し出した正論をいうだけではない。そんなことをいっても、面白みがないからだ。何よりも多面的な意見を視聴者に提示するのが役割と認識なさっていたように思う。

 そして竹田さんのおっしゃることで記憶に残るのは、「未来すぎる提言」をしない、ということだ。これは私も常に意識するようになった。たとえば、交通事故が多発する際に、「すべてを早急に自動運転車にせよ」といったところで、それが実現するまでに果たして何年かかるのだろう。

 実務家はつねに、そういった「未来すぎる提言」と闘う運命にある。言論人でいえば、「未来すぎる提言」を語るほうが遥かに人気は出るだろう。しかし、実際には、「未来すぎる提言」ではなく、「地に足の着いた」「凡庸な」「常識的な」施策を考えなければならない。

 よくAI(人工知能)がすべてを変える、といったような「未来すぎる提言」が流布しているが、本当だろうか。現場では、AIどころか表計算ソフトすら十分に使えないひとたちが多い。もちろん、全員ではない。ただ、いまだに零細企業では、受発注をFAXで実施していたり、さらに書類も手書きで提出していたりする。

 世の中は変わる。だけど、徐々に変わる。

テクノロジーによる調達・購買改革

 サプライチェーン、調達・購買のコンサルタントをやっていると、相談をいただくテーマで時流を読むことができる。昨年から「働き方改革」のテーマは続いている。その次に、「取引先からモノが入らないからどうにかしたい」といった納期問題のテーマ。そして「AIの調達業務」と続く。そして現在では、「RPA(ロボティックプロセスオートメーション)」が増えてきた。

 これは、単独で存在していない。考えてみると、すべてがつながっている。生産が逼迫し、労働力が確保できないなか、働き方改革は必須だ。そのなかで、AIやRPAを活用しなければならない。話を聞いていると、それらのテーマが有機的につながっていると理解できる。

 先日、米SAP Aribaは「CPO Survey 2018~What's the next big thing in procurement?」を発表した。CPOのPとは、Procurementのことで、企業の調達機能を指す。

 詳細は当レポートに譲るものの、いまのところさほど高度に自動化された調達機能を有する企業はほとんどない。テクノロジーの力を借りて、これ以降、自社の調達改革を試みようとする動きが見て取れる。

 自社での応用検討の順位も、流行語が並ぶ。

  • RPA
  • AI
  • 機械学習

といったものだ。概念としてはAIのなかに機械学習が入るはずなので、二重化している気もする。ただ、要は、最新のテクノロジーをできるだけ積極的に摂取しようという姿勢の表れだろう。