多くの被災者が避難所生活を余儀なくされている(写真:The New York Times/アフロ)
多くの被災者が避難所生活を余儀なくされている(写真:The New York Times/アフロ)

 4月14日に熊本県を襲った地震の被害が拡大している。最初の地震の翌々日未明に本震が発生し、以降強い地震が続いている。強い地震が夜間に多く発生しているのも住民の不安を増幅させる要因だ。一刻も早い終息を祈りたい。

 政府や、地方行政だけでなく個人レベルでも被災地支援の輪が広がる中、当面の生活に必要な支援物資が「必要な場所、必要な人に届かない」と報道されている。大きな揺れによる不安に苛まれている被災者に、一刻も早く支援物資を届けたい気持ちは、日本国民の総意だ。現在支援物資が届いていないのは、災害時に必要となるサプライチェーンが機能していないからと考えられる。数多くの報道から、その理由を読み解いてみたい。

日常と災害発生時で異なる「ラストワンマイル」

 地震発生以降、全国から発送された支援物資は、熊本県の指定場所に集められている。問題はその先、避難所へ届ける最後の配送、すなわち「ラストワンマイル」だ。避難所には、初回の地震から本震、それ以降も続く地震の発生によって避難する住民が増加している。避難所に入れない住民は、指定避難所以外へ避難し、サポートが受けられずに不自由な生活を余儀なくされている。事前の想定と、避難所以外にも被災者がいるという現実の違いが、対応の難しさに拍車をかける。まず、災害の発生していない日常生活では、生活物資のラストワンマイルはどのように埋められているのだろうか。

 日用品や食品は近隣の商店やショッピングモールといった小売店で購入するのが主流だ。プラネットによる調査報告書「インターネットは日用品流通をどう変えるか 2015」によると、生活に必要な日用品は、圧倒的にドラッグストアで購入されている。すなわち消費者は日用品を、自らの移動手段によってドラッグストアを訪れ購入している。サプライチェーンのラストワンマイルは消費者の足だ。しかし震災が発生すると、地震による道路の被害や燃料確保の困難さ、続いて起きている地震などによって、被災者によるラストワンマイルは期待できない。

 同じレポートでは、購入頻度が2~3カ月に1回から月1回へと増加傾向を示すインターネット通信販売にも言及している。通信販売におけるラストワンマイルを埋めるのは宅配便だ。国土交通省が発表した「平成26年度 宅配便取扱実績」を参照すると、平成26年度の宅配便(トラック)取扱個数は、ヤマト運輸(宅急便)、佐川急便(飛脚宅配便)、日本郵便(ゆうパック)の3社で、全体の92.5%を占めている。通信販売のラストワンマイルは物流業者が埋めている。

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