狙うは家庭の食卓

 従来コンビニで提供される弁当や惣菜は、家庭で調理される料理の補完的な、やむを得ない外食の位置づけだった。しかし、セブン-イレブン・ジャパンは日常的に食卓に提供する食材の販売に力を入れている。冷凍食品も「素材系商品」と呼ばれるカット野菜や、冷凍肉、冷凍果物といった時間の節約を目的にした家庭の調理に「便利な」商品を展開する。

 従来から外食はマイナスイメージがつきまとう。外食が続くと体調が悪くなるとか、塩分摂取量や、化学調味料や食品添加物が気になるといった話は、誰しもが考える。加えて「食事の中心は家庭であるべき」といった認識は、事実上家庭の食事を担う女性に大きな負担を強いている。こういった状況への対応として、買ってそのまま食卓に出せる食材や、短時間で調理できる材料のラインアップを増やしているのである。世間に根強い家庭料理信仰に対抗するのではなく、家庭料理に活用してもらうための「便利さ」を追求し、併せて安心、安全を前面に打ち出しているのである。

異業種との競争

 もう一つ、異なる業種の小売店と激しい競合に直面している現実もある。医薬品や日用品を扱うドラッグストアが、食料品や酒、清涼飲料品を販売しているのは、よく目にする光景だ。コンビニとは異なる業態でありながら、24時間営業しているチェーン店もある。コンビニで販売している日用品の競合店舗だ。

 昨年4月、セブン-イレブン・ジャパンは日用品60品目を約5%値下げした。5月にはローソンとファミマも追従した。日用品では「近くて便利」に加えて「安い」を訴え、日常生活の買い物をワンストップで対応する狙いがある。ワンストップの実現によって、国内人口のボリュームゾーンである中高年を取り込むのが目的だ。

取り逃がしている顧客が存在する40歳以上

 セブン-イレブン・ジャパンでは、2013年度から来店者の50%以上を40歳以上で占めている。2015年には来店客の55%が40歳以上になっている。高齢化の進む日本では、来店者比率で年長者が増えるのは当たり前と思うかもしれない。しかし、日本の統計2018によると、日本の総人口に占める40歳以上の割合は61%だ。40歳以上にはまだ来店者数拡大の余地が存在する。

 コンビニでは扱えない医薬品を購入するついでにドラッグストアで買い物するのはやむを得ない。しかし多くの高齢者が服用する薬と食品の購入頻度の違いは明らかに食品の頻度が高いはずだ。郊外のロードサイドで見かけるような大型店舗は、足腰が弱くなった高齢者の買い物に、店舗の大きさが「なかなか商品の棚にたどり着かない」デメリットになる。コンパクトな店舗を武器に、すぐにほしい商品が手に取れる「便利さ」を提供して来店頻度の拡大を目指す。

国内マーケットで蓄積する出店と店舗運営ノウハウ

 3月には小田急電鉄と業務提携が発表された。これでJR西日本を含め、電鉄系の提携は8社目だ。標準的な店舗では進出できない場所にも出店を進め業績拡大を進める。様々なレイアウトでの営業は、それだけ店舗運営ノウハウの蓄積につながる。セブン-イレブン・ジャパンに限らず、大手コンビニ各社は、海外にも店舗網を拡大している。商品は現地国のナショナルブランドを販売し、各国の好みに合わせた商品展開を行ったとしても、高齢化が進む日本での業績拡大の経験は、進出先の国々で活用できるノウハウになるに違いない。中身は違っても「便利さ」は誰しもが求めるはずなのだ。