沢渡:でも暴言ですが、間接部門はなくなったほうがいいでしょう。情報システム部門もそうだと思うんです。情報システム部門がいなくたって、事業部門のITリテラシーが高くて、きちんとITベンダーさんとプロジェクトを進められて、いい仕事ができたら理想じゃないですか。間接部門の人が考えるべきは、自分たちがやっている仕事ってなくせないのかということ。

坂口:このへんの話がかみ合わないですよね。話はわかります。でも、それを期待するのは、社員も人間ですから難しいと思うなあ。理想論を語っても、社員に酷です。だって、システム部門の人は、自分たちが失業するインセンティブは持たないでしょう。無理筋と言ってもいい。

沢渡:ははは。失業ではなくて、事業部門でITで課題を解決できる人材になるとか、そういう高みを目指してほしいですけれどね。

 ところで、私は日本の企業や官公庁・自治体の間接部門、ホワイトカラーの生産性の低さはずばり、間接部門にエンジニアがいないからじゃないかなと思っています。日本の組織って、大きく事務系と技術系に分かれているじゃないですか。これが不幸を呼ぶ。でもって、事務系職種には文系卒の人が入ります。総務だとか広報だとか購買だとかに配属されるパターンです。

 私は80近くの企業、官公庁を見てきましたが、働き方改革の進みが良いのはたいてい技術部門です。エンジニアはある意味、空気を読まずに発言できたり、新しいテクノロジーにチャレンジしたり、自動化を発想できたりします。技術部門等、製造の現場でわりと改善が起こりやすいのは、そんなメンタリティーの部分があると思うんですね。

坂口:それは、製造部門が定型的な仕事であるのに対して、ホワイトカラーが変動的な仕事をしているからですよ。なぜなら、おっしゃることが本当であれば、「文系は不採用」「理系のみ採用」が大企業にとっては最善の策になります。統計を見ると、大卒求人倍率では、大企業はまだまだ選べる立場にいるので、やろうと思えばできる。しかし、そうなっていない。だから、文系と理系という区分けはさほど意味がない気がします。革命の代名詞であるマルクスは文系でしょう。あ、だから革命は失敗したのか(笑)。

沢渡:そうそう、ですから失敗したんですよ。シリコンバレーの革命は成功している(笑)。

働き方改革は、けっきょく、会社員の地位利用改革か

沢渡:間接部門ってたとえば総務部に10人いるとして、その10人でやれる仕事をひたすらやってきた会社が多い。そもそも総務部が何をすべき部署なのか、サービス設計ができていない。なので、「ムリ、ムダに気付け」と言っても、「ムダなんかありません、ムリなんかはありません」となっちゃう。

坂口:いや、だから、先ほどから申し上げる通り、誰でも自分が失業するインセンティブはもたないでしょう。たとえばですけど、自分たちの組織人員を半分に減らすような提案って部門長からは絶対に出てこないでしょう。私は口癖で「コンサルタントに一番必要なのはコンサルタントだ」と言っています。ものすごく優秀なコンサルタントは、第三者として客観的にクライアントを見られる。だけど、自分自身は客観的に見えない。だからコンサルタントであっても、「自分というコンサルは不要ではないか」という提案はなかなかしない。

 理想はわかるんです。ただ、仮にサービス設計ができていたとしても、間接部門が自ら「私たちは不要です」とはなかなか言わないでしょう。少なくとも、現実的には難しいと思わないと実務的ではありません。

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