一企業を詐欺師と呼ぶ大統領

 アマゾン・ドット・コムや創業者のジェフ・ベゾス氏に対し、トランプ大統領はしばしば口撃をしかけてきた。アマゾンは、グローバル企業の代表として対象とされやすいのだろう。また、大企業の税金逃れについて国民の不満が高まる中、批判の矛先として仮想敵にしやすいのかもしれない。

 大統領、あるいはそのスタッフは、アマゾンの税金回避策について何度も言及してきた。「すげえ、こんなことよく書いたな」と私が思ったのは、トランプ大統領のツイッターだった。「ワシントン・ポストという、もう運が尽きた企業を、税金を下げる目的で利益を出さないアマゾンのジェフ・ベゾスが有している」とまで書き、さらに、アマゾンとジェフ・ベゾス氏に、それぞればっちりアカウント名を書いてメンションを飛ばしていた。

 そして、今回もまたトランプ大統領が口撃を再開した。今度は、アマゾンが不当に安価に配送しているため、アメリカ合衆国郵便公社に損害が出ているという。しかしそれにしても、大人なのだから、違法に配達しているわけではない会社に対して「郵便詐欺師(Post Office Scam)」呼ばわりするのは、さすがに言い過ぎではないか、と私は思う。

 トランプ大統領のつぶやきによると、具体的にはアマゾンの荷物を運ぶためにコストとして一つにつき郵便公社は1.5ドルが赤字になっているという。私が考えるに、それはたんに契約書が不備だったか、実態を把握していなかったミスにすぎないのではないか。しかし、大統領は許せないようで、立て続けにつぶやいている。最初は、1.5ドルを説明し、その後に、前述の郵便詐欺師に行き着く。

トランプ大統領のアマゾンぎらい

 日本で報道された、このところのトランプ大統領と企業がらみといえば、Facebookの個人情報が漏れ、そして大統領選挙戦に活用されたニュースだ。現在、Facebook離れが加速するのか、あるいは同社が踏ん張るのか見ものだ。しかし、トランプ大統領は、Facebookよりもアマゾンのほうが嫌いのようで、ある種の執拗ささえ感じられる。

 ジェフ・ベゾス氏にしてみると、大統領から口撃されるデメリットは、株価下落の形で表出する。ビジネス環境上、大統領がリスクともいえる。大統領の一言で、株価が数パーセントも下がってしまったらたまらない。

 実際に同社の決算には、繰り返し、政府の規制がリスク要因であると書かれている(Government Regulation Is Evolving and Unfavorable Changes Could Harm Our Business)。