
私は以前、製造業で調達業務に従業していた。その中で、取引先の倒産は二度ほどしか経験していないので幸運だったいうべきかもしれない。
よく「取引先が倒産したらすぐにトラックを借りて向かえ」という人がいる。金型等を差し押さえないと生産できなくなってしまうためだ。しかし実際には金型等を譲渡してしまっている場合は、所有権が先方に移っているためどうしようもない。
先方が倒産してしまったらほとんどできることはない。事後処理くらいだ。逆説的にいえば、「取引先の倒産を経験しないためには、倒産するような取引先とはつきあわない」ことが大事になる。
ただややこしいのは、取引先の与信情報をいかに調べるかにある。取引先に決算書等を要求してもなかなか出てこない。信用調査会社から購入するにもお金がかかる。しかも、初回だけもらっても意味がない。取引が継続するうちは、毎年度の決算書を入手し、定期的にチェックしなければならない。
その他、経験からは、会社が危なくなると、次のような傾向が出るように思う。
- 役員の入れ替わりが激しくなる(のは、きっと倒産間近と知っているからだろう)
- 経営者が不在になりがち(で、銀行に融資の依頼で駆け回っている)
- 支払い期間の短縮化を求めてくる(が、多くの場合は「できないとわかっていながら、とりあえず聞いてこいと言われました」と営業パーソンが付け加える)
- 工場に不良在庫が累積している(が、改善の様子や情熱が見られない)
昨今では、持続可能性がキーワードだ。サプライチェーンを強固なものにしようと思えば、自社のみならずサプライヤーの健全性をも確保せねばならない。
与信調査を重要視するバイヤーたち
先日、B to B企業などを広く紹介している「THOMASNET.com」が面白い調査結果を報告した。
同調査によると、約90%の調達者(バイヤー)が、供給者(サプライヤー)を選定する際に財務的な安定性が必要だと答えている。また約60%のバイヤーは、財務不健全なサプライヤーを候補リストから外したと答えている。
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