アマゾンはドローンの夢を捨てない

 米アマゾン・ドット・コムがドローンを配達に活用することを想定した最新YouTube動画を公開した。実現化が一時期には疑問視されたアマゾンのドローン化計画だが、この動画を見るとドローン活用はSFではなく、生活に溶け込む一歩手前である印象すら受ける。

 ドローンが障害物にぶつかったり、ドローン同士が接触したりすることも技術的に解決でき、その技術はクルマの自動運転とも通じる。2015年10月にアマゾンが特許を出願した資料にも、その開発技術について言及がある。一度でもドローンが事故を起こしてしまえば、ドローンの活用自体に疑問符がつき、夢の技術は悪夢と変わっていく。だからアマゾンは、安全を最優先し、確実な運用ができてからドローン配達を実施する考えだ

 日本でもドローンの実現化にむけて、国土交通省が民間企業と組んで千葉県や徳島県で実証実験を行う。先端を走るアマゾンは、米国に加えて、カナダ、英国、オランダでも実験を実施する。ドローンの活用では、各国で規制が異なる。ドローンの配達が可能となるためには、それぞれの国の規制をクリアする必要があるため、同時期に実施はできないかもしれない。

 よく子どもに「夢を持て」といいながら、自分自身は夢を捨て去ったまま暮らしている大人は多い。ただ、ジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)は、空飛ぶドローンに自社商品を配達させようという夢を捨てない。

ドローン活用にそれでも残る疑問

 ドローン配達が可能になった世の中は便利だろう。しかし、住宅での軒先渡しが可能な米国に対して、日本では集合住宅が多い。ドローンがマンションなどのポストに1つひとつ貨物を挿入できそうにはない。やるとしたら、マンション等の屋上に落下ポイントを設け、ドローンが荷物を下ろし、そこから管理人が配ることになるだろう。

 さらに、領空権が網の目のように張り巡らされた国のなかで、ドローンはどうやって配達が可能だろうか。個人所有地のすぐ上空を通過するわけにはいかない。とすれば、道路の上空を通過することになる。そのとき、自動車と同じく(日本であれば)左側通行になるのだろうか。各国の道路交通法は浮遊物を想定していないが、上限スピードはどのように定義されるだろうか。

 はたして雨の日も風の日も、ドローンは配達が可能なのだろうか。

 地上はいわば、人々が開発し、使い尽くしてきた領域だ。そこに新参者が入るのは容易ではない。もちろん、だからこそチャレンジしがいがあるし、ドローンはイノベーションにもなるだろう。

 しかし、上空を飛ぶドローンを待ち構える障害は、ぱっと考えただけでも、これらのものが思い浮かぶ。