その下請法の運用ルールが、親事業者にはある意味、かなり厳しく変わっていく。具体例としてあげられているのは、「量産品と同単価での補給品の発注」を親事業者の買い叩きと認定したり、型・治具の無償保管を要請をすることを同じく親事業者の違反行為と認定したりすることだ。

 当然ではあるが、1万個を生産するのと、1個を生産するのでは、コストが異なる。原価計算で配賦と呼ぶが、労働者のコストを1万個に割り振るのか、1個に割り振るのかでは異なる。だから1個で生産すればコストはあがる。

 ただし親事業者との関係のなかで、補給品であっても同価格で提供する例はあった。あるいは、満額を値上げできずに供給するケースもあった。また、法定耐用年数で金型は2年償却となっているものの、たった2年で生産が終わるわけもない。その倍、ひどい例では20年以上も保管し、その保管コストが支払われないケースもあった。

 話を戻す。

 こういった分野にこそ、Sculpteoがいうとおり3Dプリンターが有効かもしれない。量産段階ではサプライヤーに生産を依頼する。そののち、製品図面やデータを使用する権利の売買は生じるかもしれないが、保守部品は3Dプリンターで生産してしまうのだ。たくさんの金型を有する必要はない。

 もちろんとっさにいくつかの問題を想定できるが、3Dプリンターは魅力的な案であるには違いない。

 3Dプリンターでつながったサプライチェーンを、デジタルサプライチェーンと呼ぶ向きもある。これまでモノとモノのやりとりが中心だったサプライチェーンは、情報流通としての側面も持ち出す。

 そして、3Dプリンターのサービスがさらに安価になると、サプライチェーンの中に、個人に近いMAKERSが参入してくるだろう。

在庫2.0の時代

 ところで顧客の在庫を軽減させるために、かつて在庫サービスが発展した。例えば、顧客工場の近くに倉庫を持って、そこから顧客工場の生産ラインにジャストインタイム納品をするのだ。そうすれば、顧客の支障はないにもかかわらず、顧客の在庫は消える。

 在庫機能を提供するこれらのサービスは、VMI(Vendor Managed Inventory)と呼ばれてきた。従来の顧客が管理する在庫=CMI(Customer Managed Inventory)に対してVMIが持つ利便性は確かにあった。しかし、これから3Dプリンターで生産するとなれば、もはや在庫機能の代行が不要になってくる。

 もちろん、すぐに全量産品が3Dプリンターになるわけではない。ただ、サプライヤーからは図面データを提供してもらって、あとは自社(あるいは協力工場)の3Dプリンターで部品類を生産する時代がやってくるかもしれない。そうすれば納期は問題とならない。

 期待も込めて、3Dプリンターの希望は広がっている。