これはアマゾンという限った意味ではなく、倉庫業務として、こういう場合はどうだろう。緊急の際に、顧客が電話をかけてくる。「あの荷物はどうなっていますか」。倉庫のマネージャーは、ただちに「作業者がいま手に持って向かっています。あと8分後にはトラックに搬入できるでしょう」と答えられるようになるかもしれない。そこまでの情報が重要かどうかは、もちろん議論の余地がある。ただ、リアルタイムで確認できるようになるだろう。

 さらに、さきほど挙げたアマゾンの新技術に採用された中には「haptic feedback(触覚的なフィードバック)」がある。詳細までは明らかになっていないが、文字通りに解釈すると、作業者に軽い触覚で通知がくるだろう。そうなると、間違った作業をした際に通知が来れば、作業者にもわかりやすいことになる。

 テレビドラマ「西遊記」では孫悟空が、頭の輪が縮むことによって懲罰を受ける場面があった。作業者に通信器具をつける、というのは、もちろん監視社会のイメージがある。ただし、米国のスリースクエアマーケットは、社員の体内にチップを埋め込むことで、カードなどを携帯せずとも、ドアをあけたり、システムにログインしたりできる、シームレスなサービスを開発している。

 同じく作業者の細かな作業分析は、ポジティブな意味で、さらに効率化を達成する方法となりうるだろう。

作業効率化は続くよ、どこまでも

 いわゆる工場などでの作業改善の方法には、サーブリック分析がある。これは作業者の作業を18の種類にわけ、さらに非可動時間はないか等を分析するものだ。たとえば、工場のラインで作業者がなんらかの作業をしていれば、ムダな作業がないか、速くできるところはないか、両手をつかって作業しているか、そして両手ともに時間をロスしているタイミングがないか――を見ていく。実際には観察したり、あるいは、動画に撮影して確認したりする。

 ただしこれがややこしい。しかし、簡単な器具をつければ作業者の動作分析ができ、さらに作業者の効率良し悪しとヒモ付けて、それぞれの行動特徴を分析できたらどうだろうか。現場の作業は熟練と、そして仲間からのフィードバックによって改善していく。ただ、作業の莫大なビッグデータが集まれば、それによって最適な動線や最適な作業順序などをAI(人工知能)が導くことは可能だろう。

 作業者にとってみれば、休みヒマも与えられない絶望に映るかもしれない。一方では、作業が効率化でき、改善を次々に発見できる時代に映るかもしれない。

 もちろんアマゾンのバンド構想がどこまで現実化するかはわからない。ただし、こういったウェラブル機器を通じて作業者の位置や作業内容を分析し最適化され、さらにサプライチェーン全体が高速化を目指す動きは変わらないだろう。そして、その反動として批判の声も高まるだろう。私たちはいったいどこに向かっていくのだろうか--。