私が抱いたティラワ経済特別区周辺の率直な感想は、「まだまだ問題はある。しかし、やはりここを中心に発展していくに違いない」というものだった。ティラワ経済特別区のすぐそばの光景がこれだ。

 建設資材を持ち寄るトラックが周辺の集落に立ち寄り、そこで飲料やたばこなどを買っている様子が見られた。そして、トラックの整備(といっても簡単なものだが)や、タイヤ交換などを商う人たちの姿が見られた。こういう光景は、ほとんどの人が見逃す、あるいは、重要視しないものだと思う。実際に、ティラワに見学に来ていた日本人らしき一行を乗せたバスは通り過ぎていった。

 しかし、私はここに成長の兆しを見る。サプライチェーンに組み込まれた地域は、モノが通過していく。そしてモノが通れば、そこに産業が生まれていく。産業が生まれ、活性化していくと、さらに人々が集中する。

 またASEANの主要道路の図のなかに示す通り、ミャンマーにはダウェーもある。ここはタイのバンコクからつながるところだ。まだミャンマー側の道路整備が完璧とはいいがたいが、タイからはルート346を通ってミャンマーに抜ける整備はされている。

 ミャンマー国内も、そして国外も発展を続け、私たちの前にOne-ChinaならぬOne-ASEANが姿を見せようとしている。この動きに巨人・中国は先行して手を打ち続けている。中国は経済特別区の1つであるチャオピューに石油とガスのパイプラインを建設した。さらに同地区にミャンマー最大の港湾を整備することになっている。中国はチャオピューで石油の備蓄を行い、チャオピューをハブに自国の産業・資源獲得戦略をしたたかに進めている。

 日本は何をすべきだろうか。もちろんティラワ経済特別区の開発を進め、何としても同地区の立ち上げを成功させねばならない。

 そして一人のビジネスパーソンとしては何をすべきだろうか。それは分からない。ただ、ミャンマーと日本の距離は様々な形で近づいている。先日は、日本の電車がヤンゴンで運行を開始した。無秩序な中から、確かに何かが生まれている。

 熱気を感じたければ、今、向かうべきだ。最後の秘境ミャンマー、ASEANの回廊が収斂(しゅうれん)する国、混沌と可能性と希望のすべてが共存する場所へ。