「静かな未来」があっていい
葛西:未来が騒々しくないといいなあ、と思っています。「静かな未来」が望ましい。ほら、「広告」が告げる未来って、どうしても今よりハイスペックって言うんですか、そんな世界を謳うから、未来が華々しく、ぎらついたものに思えてしまう。
でも、どうなんでしょう、技術が発達したからといって、みんな、実際の暮らしが派手で騒がしくなることを望むでしょうか。広告でも「騒々しい未来」じゃなくて、「静かな未来」を見せてあげた方が、よほどいい。
川島:「静かな未来」を広告が表現するにはどうすればいいんでしょう? 葛西さんだったらどうします?
葛西:まず我に返る。原始に戻る。何も身に着けない動物なんだと想像してみる。暗闇の静かなところに身を置いてみる。目を閉じる。瞼の内側が見えてきて、ばーっといろいろなことを思い出す。
川島:なんだか瞑想しているみたいです。
葛西:全部はぎ取った状態に、自らの感覚を戻してみる。自分の素の内側を覗き込んでみると、本当に欲しいものが見えてくる。本当に見たいものが見えてくる。
川島:そこから「静かな未来」の伝え方も、見えてくる、と。
葛西:はい。禅問答みたいですが(笑)。

*12月1日公開「よい商品は、未完成なんです。」に続く
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