長期的成果と短期的成果の双方を出す

川島:そうは言っても、クライアントはとかく目に見える成果や、短期的な結果を求めがちだと思うのですが。

佐藤:経営者がクリエイティブにどこまで期待しているかであって、クリエイティブが経営資源として機能したという評価軸を、最初にきちんと決めておかないといけないんです。たとえば、2015年にIHIさんとのプロジェクトで、広告を作りましたが、あれは社外に対してはもちろんですが、社内に向けた相乗効果も意識してやったものでした。

川島:IHIというロゴを組み合わせたグラフィックによる広告は、多くの賞を受賞されましたね。

佐藤:賞をいただいたのはありがたかったのですが、このプロジェクトの目的は若い人たちを中心にIHIの活動を分かりやすく伝え、社内外に認知を広げていくことでしたので、社員の方からのポジティブな反応が多かったことや、企業説明会で広告を見たという学生さんが明らかに増えたことの方が、結果として大事なことだと思っています。

 求められていたのは、企業のイメージを向上することでしたので。

川島:それってモノサシ化するものが難しいですよね。

佐藤:僕は、定期的にアンケートやヒアリングを重ね、生の声を聞いていくしかないと思っています。それと、経営トップは長期的な結果を出して欲しいと言ってくださるけれど、現場はそんなに悠長に構えてはいられない、という事情があることも多いんです。そういう要望にもきちんと応えていかないと、結果的にプロジェクトが成功したと言えないと考えています。だから、ビジョンももちろん作りますが、たとえ最低限のレベルであっても、売り上げなり具体的な成果を確保しながらビジョンを実現していくのが大事かなと。それをクリアする仕掛けも一緒に考えるようにしています。

川島:たとえばどんな風に?

佐藤:大正製薬さんの「RAIZIN」という新炭酸飲料の仕事でやったことをお話ししましょう。(続く)