予想を裏切りながら、期待値を上回る

設楽:先ほどお話した「外し」と「抜き」の話で言えば、「こう来たか」ということを忘れちゃいけないんです。つまり、相手の予想を裏切りながら、期待値を上回ることをやっていく。これは、ビームスがビームスであるために、必要不可欠だと思っています。

 そして最後に「ビームスジャパン」の話にもどると、日本人の特徴のひとつは、この「外し」と「抜き」のセンスにあると思っていて。海外から輸入した文化を、自分なりに解釈して、「外し」や「抜き」を加味し、新しいものを生み出していく。歴史を辿ると、アートや工芸の中で、そういうことってたくさんあったわけじゃないですか。そこは自信を持って、もっとアピールしていいと思っています。

川島:なるほど「外し」と「抜き」は、「こう来たか」と相手に思わせるものでもありますから。

設楽:かつてウォークマンが世の中に登場した時も、iPhoneをジョブズが発表した時も、「こう来たか」というところ、あったわけじゃないですか。それも、表層的な思いつきじゃなくて、徹底したテクノロジーの追究や伝統伎の掘り下げみたいなことをやった上で、「こう来たか」に持っていくわけです。

川島:何でもかでも「外し」と「抜き」ではなくて、考え抜かれた「外し」と「抜き」ってことですね。しかもそれを、ミーハー的感覚で軽やかに見せるのが、設楽さんっぽいし、ビームスっぽいと思います。

設楽:うちは何か「面白そう」という感じを大事にしてきたんです。

川島:「面白い」じゃなくて「面白そう」ですね。

設楽:「面白そう」には、未来に向けた期待や希望が込められている。そこが大事だと思うんです。いろいろな業界とビームスがコラボする時に、「ビームスに言うと、何か面白いことができるんじゃないかと思って」と言っていただくことが多いのですが、まさに、そこのところ。逆に言えば、そこが薄まってしまったら、うちはおしまいと思っているのです。

川島:そのあたり、最近のビームスもばっちりですか。

設楽:完成した舗装路を上手に運転する人は、確実に増えているのですが、道なきところに新しい道を引ける人が少なくなったと感じています。もちろん、人材の質は確実に上がっています。良いものとか悪いものとか、どういう風にするのがおしゃれかというのも、昔に比べたら格段にわかるようになってきている。

 ただ一方で思うのは、自分たちも気づかないまま、固まっているのかもしれないということ。だから、もっと拓いていかないといけないなって思うのです。「面白そう」っていう人たちが、いつもたむろしている企業みたいなイメージ、もっともっと強くしていきたいと考えています。

川島:規模に負けずに設楽流を貫いてください! 次の「かっこいい」、楽しみにしています。