かっこいいとは「外し」あるいは「抜き」

川島:最後の質問です。設楽さんにとって「かっこいい」とは何でしょうか?

設楽:よく言っているのは、「外し」あるいは「抜き」ということです。“ファッションはコミュニケーションツール”なんです。びしびしに決めると、ただの自己主張に終わってしまう。どこかに「抜き」を作ることで、他人とつながるファッションになる。そんな心がけをしているのです。

川島:設楽さんからいただく年賀状が、毎年物凄く面白くて。どういうものかっていうと、「時の人」に設楽さんが扮装して登場する。衣装からメイク、ポーズまでばっちりで(笑)。もうそれがなぜか似ていて、くすっと笑えて。マツコデラックスさんのバージョンは、特に思い出深いです。あれも「外し」と「抜き」というわけですね。じゃ、今日のファッションだったら?

設楽:そうですね。(ポケットから小箱を出して)これは僕の名刺入れなんですが、昔の煙草入れ。恐らく江戸時代とかの車引きが、これに煙管を差して、ここに煙草を入れていたわけですが、僕は根付を付けて名刺入れにしちゃってる。こういうのって、見せて話すと「へえ」となるじゃないですか。

川島:確かに。

設楽:これは、名刺入れであると同時にコミュニケーションツールなわけです。そして、「にやっ」としたり「くすっ」とする要素も、かっこいいの中で大事なこと。

川島:最近のファッション業界、そういうかっこいいが減っている気がしますが。

設楽:僕もまずいと感じています。たとえば、ファッションより、飲食の世界の方が面白いし、勢いがあるなって感じます。女の子たちが、レストランやカフェで、どんどん写真を撮ってSNSにアップしているじゃないですか。あれってお店の宣伝になっているし、楽しい雰囲気をどんどん伝えていっているわけです。

 一方で、洋服屋はどうかというと、撮ってる子が圧倒的に少ない。もっと撮ってSNSにアップしたくなる雰囲気の店にしていかないと。極端に言えば、「ここで撮るとフォトジェニックだよ」というようなコーナーがあってもいいくらいです。

川島:そうやって、社長のアイデアは泉のように湧いてくるわけですね。