川島:伊藤忠インターナショナルは、何人くらい社員がいるのですか?

茅野:単体で150名ですが、その下の事業会社もたくさんあるのでそれなりの規模だと思います。

川島:それだけの海外事業会社の海外経営陣として女性初起用ということで、人事が発表されてから、社内外で話題を集めました。実際、私もいろいろなところで茅野さんのお話を耳にしました。「御社には素晴らしい女性役員が」って言われると、つい自慢しちゃいます。

茅野:私は25年間、法務一筋でやってきたので、会社としても、もっと視野を広げてほしい、新しいことにチャレンジしてほしいという思いがあったのではと想像しています。自分でも、これからが楽しみです。

川島:ニューヨークに赴任されたら、まずなにをやってみますか?

茅野:伊藤忠インターナショナルには、日本人駐在員もいれば、ナショナルスタッフと呼ばれる米国人もいます。まずやってみたいのは、コミュニケーションをより良くすることかなと思っています。

 少し前のことになりますが、伊藤忠商事のコーポレートメッセージである「ひとりの商人、無数の使命」、あの英訳は、私がやらせてもらったものなんです。最初、外部の方に依頼したところ、それが「I am one merchant with many missions」で、本来の意味が全然伝わっていない。それで、私にお鉢が回ってきて(笑)。「I am one with infinite missions」と提案したら、何とそのまま、社員の名刺に刷られるようになりました(写真)。「本来の意味に近い英語のコピーになった」と上司にも褒められました。

 社内のコミュニケーションをより良くするには、本社が何を考えているのか、どういう方向を見ているのかを視野に入れながら、日々の仕事に落としていくことが大事です。海外でもそこは変わりません。伊藤忠インターナショナルの米国人社員と日本人社員の間に立ち、意思疎通機能を担いながら、コミュニケーションのレベルを上げていきたい。

川島:総合商社という業態は日本だけの特殊な存在ですが、そのあたり、茅野さんは、海外でどのように説明しているのですか?

茅野:一言でまとめるのがなかなか難しいのですが、伊藤忠商事の仕事をトレーディングカンパニーと限定することはできないので、コングロマリットと言っています。そもそもトレーディングから始まった業態ではあるけれど、現状は、たとえばエクイティーインベストメントもやっているわけで、コングロマリットと言っていいと思うのです。

 それともうひとつ、米国でやっていきたいのは、機関投資家とのコミュニケーションです。これからシェアホルダーリレーションズは、特に海外進出している企業にとってますます重要になると思うんですよね。本社の意思としても、海外ファンドとの連携強化は、目指している方向のひとつですし、機関投資家の多くはニューヨークにいるので、その方たちとの関係強化に努めたいと思います。

川島:具体的はどういう風に?

茅野:コミュニケーションそのものは、レポート誌をお渡しすることをはじめ、いろいろとやっていますが、それに加え、実際に各社を訪問して、当社が目指す方向性やポリシーについて直接ご説明していきたいですね。

川島:実際に足を運んで顔を合わせ、お話しされる。

茅野:インターネットの発達した時代だからこそ、私の立場で先方に出向き、顔を合わせて話し合う必要があると思っています。

川島:ここ数年、女性の活躍については随所で脚光があたっていますが、逆にいうといつまでたってもなかなか進まないという実感を持っているのですが、茅野さんはどう見ていらっしゃいますか。

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