茅野:私は総合商社の法務というより、伊藤忠商事の法務部だからやってきた、やれてきたと思っています。アクティブで開かれていて能動的。前線で動く法務部の仕事、とても面白い仕事だと感じています。

川島:現場と一緒に動く法務部というお話、前回もうかがいましたが、聞いていても、お仕事の躍動感が伝わってきます。

茅野:私、昔から富山の薬売りが大好きなんです。つまり行商が好き! 自分の足であちこち回って、どういうニーズがあるかを把握し、それに応じた薬を薬箱に置いていく。法務部の仕事も、それと同じと考えているんです。営業の現場から何か相談を受けたら、まずは、その部署に出向いて担当者と話し合うことが大事。法務の行商です(笑)。そうやって、さまざまな部署に出入りしていると、他の案件でも「法務部のあの人が来ているから、ちょっと相談してみよう」となってくる。

川島:行商の精神をもって仕事にのぞむって、いろいろな職種で応用可能な考え方です。

茅野:総合商社は、あらゆる仕事をやっているので、ビジネスの機会はたくさんあると思うんです。しかも、伊藤忠商事は、総合商社の中でも、最終消費者を対象にした消費関連ビジネスの分野において抜きん出た力があると思います。アパレルからコンビニにいたるまで。そこで法務部ができる仕事って、探せばいくらでも出てくるんですよ!

川島:やはり富山の薬売りですね(笑)。

総合商社初の女性海外役員に抜擢される

川島:今回、茅野さんは、伊藤忠インターナショナルのEVP(Executive Vice President)兼CAOとともに、伊藤忠カナダ会社社長になって、ニューヨークに赴任されることになりました。米国担当の役員として、さらに大抜擢です。伊藤忠商事が海外に女性役員を出すのは、初めてですよね。

茅野:最初に話をいただいた時はびっくりしましたが、とても嬉しかった。すぐに思い及んだのは、昇進や海外赴任の内示に対して、女性は即答する人が少ないこと。だから私は意識して即座に「ありがとうございます!」と申し上げたんです。

川島:えっ、そもそも女性が昇進や海外赴任に対して躊躇するって、なぜなんでしょうか。

茅野:やっぱりみなさん、いろいろ考えてしまうのではないでしょうか。たとえば家庭がある人もいるし、お子さんが小さい人もいるし。ただ私の場合、結婚はしていますが子どもはいません。そして、理解ある夫なので(笑)、即決できました。

川島:内示と同時に、「きみのミッションは」「CAOの職務とは」といった具体的な指示はあったんですか? 

茅野:伊藤忠インターナショナルのCEOからは、「走りながら一緒に考えましょう」と言われています。伊藤忠インターナショナルには、わたし同様日本から赴任しているCEOがいて、その支えとなるオフィサーがCFOとCAOです。私が担うCAOは、いわゆる経営企画。伊藤忠商事はいい意味で自由で絶対にこれをやりなさいという縛りみたいなものが何もない。とても行動力のあるCEOなので、ご一緒しながら、これから何をやっていこうか、何ができそうか、ワクワクしています。