駅には、鉄道の駅と社会や地域の“益”としての双方の役割がある

川島:大きな組織の中で働いていると、自分の仕事がどう会社の役に立っているのか、もっと言えば、社会の役に立っているのか、わかりづらいことも多いと思うのですが。

新井:私は昔から、駅には、ステーションとしての駅と、社会や地域の“益”と、双方の役割があると思ってきました。人は社会とのつながりがあって生きているわけですし、会社も社会とのつながりがあって成立しているわけです。だから、社員には、駅と益を持つ会社の人間として、どうつながっているのか、つまり、社会に対してどういう貢献ができているのかということを、常に自覚しながら、仕事に臨んで欲しいと思います。

川島:そこはつい忘れがちですが、とても大事なところですね。

新井:社会から見たら非常識なことが、会社で常識としてまかり通っている。逆に社会の常識が、会社の非常識になってしまっていることもあります。そんなひずみの原因は、社会とつながっていることが自覚できていないからだと思うのです。

駅ということで言えばもうひとつあります。それは何かと言ったら、駅を通して日本全体を動かしていくということです。モノを動かすだけでなく人を動かしていくことが、当然そこに含まれるわけです。ということは、日本各地にあるモノを東京に持ってきて紹介するにとどまらず、東京の人たちが日本の各地に行って、良いモノやコトに出会っていく。そのための知恵を出し、実行していかなければなりません。

川島:ルミネでは「ココルミネ」という新宿駅のエキナカ・ショップも含め、そういう活動に積極的に取り組んでいます。地方のさまざまなものを取り上げて販売しているのが「ココルミネ」ですが、あそこで地方のモノ作りとの出合いがきっかけとなって、現地のお店や作り手を訪ねたという話を耳にしました。まさに地方創生ですね。

新井: 私は、地方創生という言い方より、地域創生という言い方の方がいいと思っています。地方という言葉には、どこか東京から見下している“上から目線”的な感じがつきまとっている気がして(笑)。