
優等生じゃなかったから、失敗に抵抗がない
田中:私は小さい頃から、いわゆる優等生ではなかったのです。子どもの頃から、凄い優等生で、先生や親から褒められることが多かった人は、そうでなくなる状況を恐れると思うのですが、私はそうではなかったので、人から叱られることにまったく抵抗がありません。褒められなくてもいいと思えるのです。だからこそ振り切れるのかなと思っています。
川島:だからと言って、誰もが振り切るところまで行けるかどうかはわかりません(笑)。ジンズの社員は皆さん、振り切っているのでしょうか。
田中:今日お話しした私の思いが、社員全員に伝わっているかというと、まだまだだと思っています。社長と現場では意識の乖離がまだあると、反省すること、多々ありますね。私は、創業社長ということもあって、絶対に逃げられない、中途半端な状態で辞められないと思い、振り切っているのですが、それが組織の階層を経ていくと、同じ温度感では伝わってかないこともあります。現場に伝えていくことは、時には非常に難しいと悩むことがあります。
川島:中間管理職の役割に戸惑うことって、私自身、組織に所属していてよくあります。この部長は現場を理解してくれているけれど、あの部長は上ばかり見て仕事しているみたいなこと。その違いはどこからくるのかと思っちゃいます。
社員より、アルバイトのほうがわかっている
田中:それは、人としての生きざまを信用できるかどうかではないでしょうか。
川島:なるほど。確かに、生きざまを信用できる上司は、いい上司です! 仕事ができるできないの前に、生きざまを信用できるかどうかということですね。でもそれ、凄く納得がいく話です。
田中:川島さん、そういうことは、社員よりアルバイトの方がよくわかっているのです。以前、あるアパレル会社のアルバイトの方と話したことがあって、「この会社はかなり危ない状態です」と言っていたのです、そしたらその会社、本当にまもなくダメになってしまいました。それで私は、なぜ社員でもないスタッフが、そこまで鋭くわかっているのかと考えました。
川島:なぜか、わかったのですか?
田中:アルバイトの方は、出世したいという思いもないですし、組織の中の人間関係にとらわれる立場でもない。割合、客観的に俯瞰して、その企業を見ていると思ったのです。だから、自分の会社についても、アルバイトの方に話を聞くと、結構、本質が見えてくると思っています。
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