ボトムアップしやすい環境で、かつ、最終決断はトップダウン

川島:企業としての存在意義を、改めて見直したということでしょうか。

田中:これから20年、30年、50年経ったら、もしかしたらメガネが要らなくなる時代が来るかもしれない。そういう時に我々は何をやっているのか。そこを明確にしておかなければいけないと思ったのです。

川島:それで、どこに行き着いたのですか?

田中:考え抜いた結果、「Magnify Life(マグニファイ・ライフ)」というビジョンに至りました。

川島:Magnifyとは、聞きなれない言葉です。

田中:「拡大する」という意味がある言葉で、「アイウェアを通じて、見るものだけでなく、人々の人生も拡大し、豊かにしたい」という願いを込めています。Magnifyという言葉を見つけた時、「これから世界に打って出るジンズ、まったく新しい製品を世に問うジンズ」という企業価値を、私自身が目指していることを、まさに言い当てていると直感したのです。

川島:ということは、事業領域は必ずしもハードとしてのメガネではないということですか。

田中:我々の事業領域は「見る」ことです。世の中全体を見ていると、相対的にモノの価値が下がっていて、人は体験にお金を使うようになっています。ということは、「見る」を基盤に、どのような新しい体験を提供できるかが、ジンズが手がける仕事になっていくのではないかと思うのです。そういった意味で「マグニファイ・ライフ」を組織ビジョンとしているのです。

川島:腑に落ちるお話です。ただそれを、仕事を通して実現していかなければならない。「マグニファイ・ライフ」を実現するために、社員は何をしていくことになるのですか。

田中:私が言っているのは3つです。「Honest(オネスト)」、「Inspiring(インスパイアリング)」、「Progressive(プログレッシブ)」。まず仕事とは、チームでやっていくものであって、それが成立するためには「オネスト」であること、誠実でなくてはいけない。その上で「インスパイアリング」、つまり人に良い影響を与えるような人間でいなければならない。それではじめて、プログレッシプでイノベーティブなことができるようになる。この3つを大事にした仕事をして欲しい。それによって「マグニファイ・ライフ」が実現できると考えています。

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